ジャニーズ事務所危機管理失敗で木目田株大暴落
10月2日ジャニーズ事務所が性加害問題に関連して2回目の記者会見を開きましたが、その後大騒動に発展しています。2回目の記者会見はその前から異常な進展でした。先ず前日に記者会見のポイントだったジャニーズ事務所の分離案が日経で報道されました。また翌日には更に詳しい内容がいくつかの新聞で報じられました。これはジャニーズ事務所がリークしたものであり、2日の記者会見は作為的または形式的なものとなることが予想されました。蓋を開けてみると時間は前回のエンドレスとは大違いの2時間となり、かつ質問も1人1問に限定されていました。これでは会場に詰め掛けた記者、ジャーナリスト、ライターなど(以下記者と総称する)の大部分が質問できず大荒れになること必至でした。案の定質問を受け付け始めると我先にと挙手が始まり、司会者も時間を掛けて指名することからテンポが悪い進行となりました。その結果時間が押してくると質問できない記者が騒ぎ始めます。更に会場が騒然としてくると質問の口調も汚くなります。結果カオスのような終わり方をしました。これは今後燻り続けるな、と思っていたら2日後の10月4日NHKが午後7時のトップニュースで2日のジャニーズ事務所の記者会見には、指名しない記者を書いたNG記者リストがあったと報じました。普段NHKを見ない私もたまたま見ていましたが、午後7時のトップニュースには政治や経済と言った堅いニュースが多いNHKでは、芸能ネタの異質なニュースでした。それもスタッフと思われる女性が脇腹に抱えたNGリストの映像がカメラに写っており、内容は別にして映像としてはスクープものでした。NG記者リストがあること自体は大した問題ではありませんが、2日は会場に詰め掛けた記者の多くが質問できませんでしたから、彼らが収まらないことと、ジャニーズ事務所の社会的印象が更に悪化することは明らかでした。
これはジャニーズ事務所の危機管理の失敗を意味しており、新マネジメント会社が最大のダメージを被ることになりますが、もう1人多大なダメージを被る人がいます。それは2日のジャニーズ事務所の記者会見にも同席していた同社の木目田裕弁護士です。木目田弁護士は日本有数の弁護士事務所である西村あさひ弁護士事務所のパートナー弁護士であり、危機管理分野で評価が高い弁護士ランキングでトップに立ったことがある敏腕弁護士です。確かに特別調査委員会(第三者委員会)の委員長に林真琴前検事総長を据えジャニーズ事務所に一切忖度の無い報告書を出し、9月7日の記者会見はエンドレスに開くなどさすがと思わせる手腕を見せました。10月2日の記者会見はここまでの流れと逆行するものであり、どうも9月7日の記者会見に社内や関係者の間で批判が巻き起こったようです。10月8日の日本テレビの報道によると、9月7日の記者会見では東山新社長がかって性加害をしたことがあるような質問も出るなど余りにも自由にやらせ過ぎたとして、ジャニーズ事務所が記者会見を取り仕切ったPRコンサル会社にもっと節度の有る記者会見になるよう運営して欲しいと要望したということです。これなら9月7日の記者会見と10月2日の記者会見の変化が理解できます。これは危機管理の主導権が木目田弁護士からジャニーズ事務所の広報担当(前広報担当の白波瀬副社長・現嘱託が中心?)とPRコンサルタント会社に移ったことを意味します。法律的危機管理からすれば記者会見では記者の質問(言い分)を100%聞くことが良いという判断になりますが、芸能界の考え方からすれば俳優(東山氏や井ノ原氏)が傷つけられる質問が飛び交う記者会見は持っての他であり、大失敗となるものと思われます。しかしこれは新マネジメント会社を含めた企業の危機管理の問題ですから、危機管理担当として契約した木目田弁護士が主導権を発揮し、9月7日の記者会見のように持っていくべきでした(或いは記者会見を行わないという選択肢もあった)。木目田弁護士にジャニーズ事務所幹部を説得する技量がなかったものと思われます。
2日の記者会見が取り返しのつかない混乱を生んだことによって新マネジメント会社の成功はおぼつかなくなりましたが、危機管理担当弁護士として実績を積み上げてきた木目田弁護士の評価も大きく下落したと思われます(優秀だが線が細い、会社をグリップする力量がないという評価になるかも)。