「説明責任」という責任はない
最近ヤフーニュースでよく見かける言葉が「説明責任」です。10月13日の記事でも2つ見かけました。1つは細田衆議院議長の辞任記者会見が短ったことを問題とした記事で「説明責任を果たしていない」と書いています。もう1つはジャニーズ事務所の前副社長で嘱託だった白波瀬氏が15日で嘱託でなくなるという記事で、「説明責任を果たさずトンズラ」と書いています。自民党の小渕優子議員なんか2014年の政治資金違反疑惑以来ずっと説明責任を果たしていないと書かれ続けています。
私は法学部卒であり、会社では法務部にもいたことがありますが、説明責任など言う法律用語はありません。法律書類で使われることもありません。それは責任範囲が明確でないからだと思われます。通常法律責任は懲役何年とかいくらの賠償とかその内容が明確でなければなりません。内容が明確でなければ無限の苦しみを与えることになるからです。たぶんこの言葉を使っている記者はこの言葉の内容を特定していないと思われます。要するに記者自身が何を聞きたいのか分からないまま相手を責め立てる便利な言葉として使っているのです。
このように説明責任は、責任を認めない限り永遠に説明を求めるものであり、現代の法律体系では認められません。この言葉を乱発する記者はとても非人道的な残酷なことをしていると言えます。ジャニーズ事務所の記者会見をテレビやネットで見ると、記者の低レベルが目につきます。ジャニーズ事務所の記者会見だから芸能記者が多いからかもしれませんが、記者って日本語(国語)が書けて喋れれば誰でもなれる職業だと思ってしまいます。記者にも弁護士や会計士のように資格試験を設ければ、記者の資質も上がるように思われます。
現代社会では認められない無限責任の追及である説明責任という言葉の濫用は、記者の低資質を示すものであり、止めた方が良いように思われます。