西村経産相は維新で首相に

岸田首相は10月23日に召集された臨時国会の所信表明演説で「経済、経済、経済、経済」と連呼したということです。これは経済政策を重視する決意を示したものですが、野党からは連呼するなら「増税、増税、増税、増税」だろうと揶揄されているようです。

岸田首相も日本の問題を解決するのは経済成長であり、それは不可能なことではないとやっと気付いたようです。気付いた原因は減税の原資となる税収の増加だと思われます。税収は3年連続で増加しており、2022年度は前年度比6.1増で、計画より約3兆円多い71兆円と初めて70兆円を突破したということです。これは1990年初頭のバブル崩壊から30年以上低迷を続けた日本経済が底を脱して上昇し始めた兆候と見ることができます。物価も賃金も上昇し始めましたから、米国のように物価と賃金の玉突き上昇が始まったように思えます。これは30年間で開いた世界との格差を埋めるためのものであり、しっかりしたエネルギーと意思を伴っています。従って岸田政権の最大の使命はこの流れを加速することです。

中国を見れば分かるようにGDPが増えれば税収が増え、例えば軍事費も巨額になります。中国の軍事費は約35兆円と日本(約5.6兆円)の約6倍ですが、GDP(約2,500兆円)比では1.4%程度と日本(約1.0%)とそう変わりません。要するに中国は国民負担を大きくして軍事大国になったわけではないのです。GDPが増えた結果軍事費が膨らんだのであり、国民にとって良い軍備増強と言えます。それに対して日本は増税により防衛費を増やそうとしていますから、国民にとって悪い軍備増強ということになります。岸田首相は防衛費をGDPの2%まで増やすに当たって増税を明言していますが、これは明らかに間違いです。GDPを増やせば税収が増えますから増税は必要ありません。多分岸田首相は、日本が現在GDPが増え税収が増える循環に入ったことに気付かないまま防衛費の一部を増税で賄うと述べたのだと思われます。正解は税収増で賄うでした。初めからこう言っておけば現在のように支持率が低迷することもなかったのです。今でも遅くないから言い直すことをお勧めします。

岸田政権でGDP増大の舵取りを行っているのは西村経産大臣です。この人は前職の経済政策担当大臣やコロナウイルス感染症対策担当大臣だったときに配属された官僚が次々と音を上げたように仕事のハードさで知られています。明石の神童が立身出世を夢見て真っすぐに進んでいる今時奇特な人物のように思えます。経産大臣は待ち望んだポストのようで、土日に企業の事業所の視察を行ったというニュースを良く見かけます。また半導体産業の振興にも力を入れており、巨額の補助金を出しています。これは日本経済の成長に役立つのは確実であり、西村大臣が経済を重視する岸田政権の命運を握っていると思われます。

こんな西村大臣も派閥の清話会ではそれ程有力な総裁候補ではありません。荻生田政調会長、松野官房長官、世耕参議院幹事長の次ぐらいではないでしょうか。西村大臣は現在61才であり、これでは首相になる次期を失してしまいます。

それではもったいないので私は、西村大臣は日本維新の会(維新)に移籍し、首相を目指すのが良いと考えます。自民党はあと2,3回の選挙で維新に政権を奪われることが確実ですが、維新には首相にふさわしい人(行政を動かせる人)が見当たりません。西村大臣は明石出身ですから関西が基盤である維新の党風に合うと思われます(奈良出身の高市早苗議員も合う)。西村大臣は維新に移籍してこそ首相になるチャンスが膨らみます。