次の熊本県知事は経産官僚がいい
現在熊本県庁は県幹部の助成金不正指示問題で機能不全の状態にあると思われます。県の幹部が不正疑惑を追加で調査しないように指示しただけかと思っていたら、それまでに明らかになっていた不正の返還額を減額するよう担当者に指示していたことも明らかになりました。そして不正企業(TKUヒューマン)がこれらを県に要請した経緯を記録した文書が関係幹部宛てに上げられていたことも分かりました。この文書の宛先には蒲島知事もありましたが、公開された文書では「知事には伝えない」と手書きされており、蒲島知事は見ていないと言っています。
これを見ると熊本県庁には不正風土が出来上がっていることが分かります。これは蒲島県政約16年間で出来上がったものと思われます。蒲島知事は本件には一切かかわっていないし、一切知らなかったと言っていますが、それは嘘だと思われます。少なくとも9月初めに本件が熊本日日新聞に報道された以降には関係者から報告を受けたはずであり、全貌を知ったはずです。ここに至っては「一切知らなかった」で通すしかないのでしょうが、蒲島知事のこの言葉を信じる人は皆無だと思われます。こうなると任期が来年4月に迫っている蒲島知事はレイムダック状態です。蒲島知事も良く分かっているでしょうから、本件に関する第三者委員会の報告書が出た時点で責任の認定に拘わらず辞職する可能性があります。そうでなくとも蒲島知事の5選出馬は無くなり、熊本は新しい知事を選ぶことになります。
熊本は現在TSMCの第1工場が完成に近づき、更に第2工場の建設も近々決定すると予想されるなど、空前絶後の変革期にあります。これは蒲島知事の功績ではなく、ソニーのCMOSセンサー工場が熊本にありTSMCがそこにロジック半導体を供給していたこと、台湾の地政学的リスクが懸念されることから、実現したものです。しかし蒲島知事は名知事として全国的に評価が高いこともあって政府に一目置かれ、熊本県の要望が通りやすいことも事実だと思われます。従って次の知事は蒲島知事以上に政府の支援を引き出せる人である必要があります。
こう考えるとずっと熊本で生活している人よりも政府と近いところにいた人の方が良いことになります。次の熊本県知事の最大の仕事は、半導体立県の基盤を作ることであることを考えれば、経済産業省の官僚、それも半導体政策を担ってきた官僚が良いように思われます。熊本出身者なら尚可ですが、熊本出身者でなくとも良いと考えるべきです。半導体産業に造詣が深く、かつ政府や関係国会議員に人脈がある人が最優先です。
熊本ではこれまで16年間蒲島知事が盤石の支持を誇り、挑戦者はにべもなく撥ね返されてきましたが、まだ知事就任に執念を燃やす候補者もいるように聞いています。しかしその方が熊本発展計画を出したと聞いたことはありませんから、知事になりたいだけの人のようにも思われます。次回の熊本県知事は熊本発展の中心的役割果たせる人であることが必要であり、「なりたい人」ではなく「やってもらいたい人」を選ぶ必要があります。