分譲マンションは60年定期賃借権の購入に

今後マンションは2つの問題で購入が難しくなりそうです。1つは価格の高騰です。これまでマンションは、土地を高層に利用することから一戸建てに比べ割安になっていましたが、今後は部材・建築費および建築現場の人件費の高騰で、このメリットが小さくなります。2つ目は建て替え問題です。マンション住人の履歴を見ると、30才代で購入し、その後ずっと住み続ける人が多くなっています。そうなると60才を超えた頃にはマンションも築30年を超え、売却は難しくなります。その結果更に住み続けることとなりますが、80才になる頃には建て替え時期に差し掛かります。しかし80才を超えた住民が多くなると建て替えに賛成する人は少なくなり、事実上建て替えは困難になります。そうなると最終的には廃墟になるしかなくなります。これは今後日本のマンションが直面する現実です。

これに加え今後は管理費と修繕積立金の高騰も避けられません。管理費については、これまで管理会社の競争で価格が低く抑えられてきましたが、これからは管理要員の不足や外注費の値上がりで管理会社が引き受ける管理費の水準が上がると予想されます。その結果これを受け入れられず管理会社不在になるマンションが増えると思われます。これがまたマンションの荒廃を早めます。

このように今の区分所有権方式では、多くのマンションが最終的に住人ではどうしようもない状態になるのは確実です。この問題に対する今後の対策としては、マンションの販売を区分所有権の販売ではなく、60年定期賃借権の販売にすることが考えられます。例えばある大手マンション会社が土地を所有しマンションを建築し、その各部屋の60年の賃借権を希望者に販売します。マンションの管理もマンション所有会社が行います。賃貸マンションと違うところは、購入者には60年の賃借権があるところです。賃借権の売買で60年住み続けられる権利を購入することになります。管理費と修繕費は売買価格に含まれる場合とマンション所有会社が請求する場合があり得ます(詳細詰めていない)。

この最大のメリットは60年の賃借期間が過ぎると土地建物の所有権および利用権がマンション所有者(大手マンション所有会社を想定)に帰属することです。マンション所有会社はまだ使えると考えれば修理して賃貸物件として使えばよいし、建て替えた方が良いと考えれば壊して建て替えるまたは土地を売却することになります。このようにこの方式ではマンションの最終処分が楽なのです。こうでもしないと日本は廃墟マンションだらけになります。