岸田首相が不人気なのはやることが「下品」だから

岸田内閣の支持率の低下が止まりません。10月の各社の調査を見ると、最低はANN(テレビ朝日)の26.9%、最高はJNN(TBS)の39.6%で平均は約31.0%だったということです。9月と比べると平均で約3%下落しているということです。各社の調査でかなりバラついていますが、日経・テレ東調査の33.0%、9月比約9.0%低下という数字が自民党に衝撃を与えたと言われています。いずれにしても低下しているのは間違いありません。

このように岸田政権の支持率は、政権維持が危なくなると言われる30%割れに迫っていますが、岸田政権が大きなミスをしたわけではありません。防衛体制強化や少子化対策など必要な政策はしっかり進めているように思われます。従って麻生副総理が10月21日福岡市の講演で、岸田首相が他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決定したことを実績にあげ、「安倍晋三元首相もできなかった。これで支持率が下がるなら、政治家として何をすればいいのか、と言いたくなる」と擁護するのも尤もです。また、麻生副総理が同日の講演の中で、岸田首相について「リベラルそうに見える顔が、安心感を与える。菅義偉(よしひで)前首相や俺のように『売られたけんかは必ず買う』という顔ではない」と語ったように、女性受けしそうな容貌であり女性の支持率が高くて不思議ではありません。

しかしこれだけ支持率が低いのは、その女性からの支持率が低いためと考えられます。女性からの支持率が低い原因と言えば、たいてい人間性に行き着きます。では岸田首相の人間性の何が嫌われているのでしょうか?それは一言で言うと「やることが下品だから」だと思われます。

先ず岸田首相の人事が「下品」です。その代表的なものが息子の翔太郎氏を首相秘書官にしたことでした。安倍首相は相当好き嫌い人事を行いましたが、岸田首相の場合学歴や知的な容貌からもっと高潔な人格だと考えられていました。それが首相就任後1年もしたら息子を首相秘書官にするという私欲の塊のような人事を行いました。その理由はなんと「適材適所」でした。これで翔太郎秘書官がバリバリ仕事をすれば国民も納得したと思いますが、不祥事の連続でした(首相の欧州訪問に同行中パリ・ロンドンを公用車で観光、首相公邸での親戚集合写真など)。そんな中でも岸田首相が翔太郎氏を守ろうとしたことから国民は、岸田首相は公人トップとしての自覚に欠ける、首相の器ではないと判断したと思われます。

人事については他にもあります。先ず首相就任後最初の組閣で堀内詔子議員をワクチン接種担当大臣にしたことです。堀内議員の義父は、岸田氏が加藤紘一議員を担いで加藤グループにいたとき宏池会に呼び戻してくれた堀内光雄元議員(当時の宏池会会長)であり、岸田氏の恩人でした。そして堀内詔子議員はその息子の嫁であり、堀内詔子議員の大臣就任は岸田首相の堀内光雄氏への恩返し人事と思われました(息子は岸田首相と長銀の同僚でもある)。今年9月の内閣改造では、加藤紘一元議員の愛娘の加藤鮎子議員をこども政策担当大臣にしており、これも加藤紘一元議員への追慕人事と考えられます(加藤議員は副大臣も経験していない)。このように岸田首相には縁故人事が目立ちます。これは首相に公正無私を求める国民からすれば我慢できないことであり、多くの国民が岸田首相を信認できない要因となっています。

その他翔太郎秘書官が辞任する原因となった首相公邸忘年会も、岸田首相に公人トップとしての自覚があれば、先ずやっていなかったと思われます。当日岸田一族が撮った集合写真は、「ついに天下をとったぞ」「日本一の一族になったぞ」と言わんばかりのものであり、一言で言うと「下品」でした。

現在国会で議論されている減税についても、低支持率の中解散総選挙で勝利するための手段として利用しようと言う意図が丸見えであり、「下品」です。

このように岸田首相は「下品」であると分かったことが岸田政権の支持率低下の原因と言えます。そのため今後どんなに良い政策を行っても支持率が上がることはないと思われます。