岸田政権が学級崩壊状態になってきた
岸田首相は高らかに3.5兆円の減税を宣言しましたが、本来なら喜ぶはずの国民から心配する声が上がっています。岸田首相は過去2年間に3.5兆円の所得税、住民税の増収があったからこれを原資にすると言いました。しかし税収不足で年間予算の約4割は国債で賄っているはずであり、家庭で考えれば増収分はこの返済に回します。従って国民は、3.5兆円の税収増加は事実だとしてももう国庫には残っていないのではと考えました。そしたら11月8日の衆院財務金融委員会で立憲民主党議員の質問に答えた鈴木俊一財務相は、過去の税収増分は「政策的経費や国債の償還に既に充てられてきた」と答えたのです。つまり、岸田首相が減税の原資と主張した税収増加分はもう残っていないと明言したのです。そして鈴木大臣は、今回の減税策を実施すれば国債発行額が増える、つまり国債が減税の原資だと述べました。また11月8日の日経新聞朝刊に掲載されたインタビューで自民党の宮沢洋一税制調査会長は、所得減税について「還元といっても税収は全部使ったうえで国債を発行している。それは還元ではない」と断言しています。岸田首相が「減税の原資は税収の増加分だ」というのを部下が「岸田首相は嘘を言っている」と言っていることになります。
財務省としては減税に反対であることは容易に予想できますから、そのトップの鈴木大臣がこれを言うのはまだ理解できます。安倍首相のときも財政問題になると麻生財務大臣は安倍首相と反対のことを良く言っていました。今回特殊なのは岸田首相のいとこであり懐刀である自民党の宮沢税制調査会長が堂々と「財源は税収の増加ではなく国債だ」と言っていることです。岸田首相は息子の翔太郎氏を首相秘書官にしたり、かって首相に担いだ加藤紘一元衆議院議員の愛娘加藤鮎子衆議院議員をこども対策担当の大臣にしたりと縁故人事を乱発し、身内を重用していますが、身近なところから綻びが生じたようです。財務省では神田副大臣が経営する会社で固定資産税の滞納と4回の差押が発覚し、辞めないと粘った末13日辞任しました。滞納の理由が「忙しくて納税するのを忘れた」です。これが許されるなら税務署はいりません。多分空前絶後の財務省副大臣だと思われます。これに対して岸田首相は長らく傍観を決め込み、岸田政権の支持率低下に繋がっています。
更に岸田首相の重要政策の1つであるこども対策の財源について、加藤大臣は国会で立憲民主党の蓮舫議員の質問に答え、財源は現在の社会保障費から捻出すると答えましたが、11月10日にはこのうち1兆円は健康保険料に上乗せして徴収する方針であることが明らかになりました。岸田首相は、防衛費増額のうち1兆円は増税によると明言しており、こども対策費も1兆円は健康保険料に上乗せする方針であることが明らかになったことから、岸田首相が言いだした3.5兆円の減税はこれらの国民負担増を覆い隠すためであることが明らかになりました。これでは岸田政権の支持率が底なし沼的に落ちるのは無理ありません。現在の岸田政権は頭の良い生徒が学級委員長になったけれど学級をまとめられず学級崩壊の状態です。