賃金アップが物価に反映できる法制にする

岸田首相は賃金アップに一生懸命です。そのため自分らの年収をアップする法案を提出しました。これについてはネットで不評なこことから、首相と閣僚、副大臣及び政務官については自主返上すると発表しました。すると「返せばいいんだろ!と開き直っている」とまたぞろ不評です。岸田政権の支持率は最近30%を切っており、何をやっても叩かれる状態になっています。

米国ではGMなどの大手自動車メーカーの労組(UAW)が賃上げを求めてストを行い、約25%の賃上げを勝ち取りました。そのため労組に加盟していない米国トヨタは9%、米国ホンダは11%の賃上げを行っています。日本の場合政府や経団連から出て来る賃上げ率は4%とか5%ですから、米国はスケールが違う印象です。米国では日本で1杯1,000円のラーメンが2,000円と言いますから、物価水準が2倍で、賃金水準も2倍の中で生活している感じだと思われます。だとしたら生活状態(苦しさ楽さ)は日本と同じだと言うことになります。違いは海外旅行に行ったときの感覚だけと言うことになります。

日本は1990年代初頭のバブル崩壊以降賃金は横這いの中、物価を下げることにより国民生活を維持してきました。これなら生活は悪くならないはずですが、消費税10%の導入に加え社会保険料も小刻みに引き上げられたことから、国民負担率が15%近く上昇し、国民の生活は苦しくなっています。物価が下がったのはバブル崩壊後も円高が続き輸入物価が下がったことが要因ですが、最近は50円近く円安となっており、物価は上昇に転じています。これは日本の物価水準が世界にサヤ寄せする動きと考えられるため、物価上昇は今後も継続すると考えられます。そうなると生活していくためには物価上昇に応じて賃金を上げるしかありません。問題は現在の社会システムでは賃金の上昇をモノの価格やサービスの価格にスムーズに転嫁できないことです。

だとすれば賃金の上昇をモノやサービスの価格に転嫁することを拒絶できない法律を制定すればよいことになります。例えばメーカーの下請け企業が賃金を上げてその賃金コストの上昇分部材の納入価格の引き上げを求めた場合、購入企業は拒否できないこととします。またサービス業においては賃金引き上げに応じて業界一斉にサービス価格を引き上げます。農産物や水産物については、全国平均賃金の引き上げ額以上の売価引き上げを実施します。こうして賃金引き上げがトリガーとなって玉突き状に物価が上がる制度とします。こうすれば日銀が目標とする年間2%以上の物価上昇は可能であり、それ以上の賃金引き上げが可能です。この結果日本の物価、賃金水準は欧米並みにまで上昇します。これは日本人が欧米並みの物価と賃金水準で生活すると言うことであり、生活水準は今と変わりません。モノやサービスに対する感覚が欧米人と同じになることだと思われます。そんな時期に来ているのだと思われます。