パー券裏金化、日本の国会は脱法府!

自民党の清話会などの派閥が派閥主催のパーティ券収入のうち所属議員がノルマを超えて販売した額を当該議員に返還(キックバック)し、それが派閥の政治資金収支報告書にも議員の収支報告書にも記載されていないことから、政治資金規正法違反に当たるとして東京地検特捜部が捜査してと報道されています。12月初めには該当者は清話会で数十名に上るという報道がありましたが、7日に松野官房長官の実名が報道され、8日には国会で松野官房長官が野党から厳しい質問攻めに会いました。松野長官は「捜査中と聞いているので何も話せない」と逃げていましたが、報道は事実のようです。9日には同会幹部の塩谷立元文部科学相、高木毅党国会対策委員長、世耕弘成党参院幹事長、萩生田光一党政調会長、西村康稔経済産業相の名前も報道されました。

政治資金規正法は政治家が特定の団体や個人との癒着を防ぐため、1回の政治資金パーティで20万円超の支払いを受けた場合には、支払者の名前、金額などを収支報告書に記載しなければならないと定めています。だったら記載すればよいように思えますが、支払者はその政治家との癒着を疑われることから記載されたくない、政治家は支援者を知られることから記載したくないというのが本音のようです。そのため政治家個人の政治資金収支報告書記載漏れは頻繁に報道されています。多くの場合単純なミスとして訂正して終わりとなっています。これは記録の問題であり、資金に違法性がないとして検察が起訴することもほとんどありません。

今回の問題も記録の問題であり、資金に違法性はないのだから、訂正すれば終わりではないかとも考えられますが、派閥が報告書に記載しないよう指示しており、全員意図的に記載しておらず犯意があります。キックバックされた金額はその後どうなったか不明であり、政治家個人の収入になった可能性もあります。政治家の政治団体に入金されたことが立証できない資金は個人の収入とみなすしかなく、所得として税務申告されていなければ(たぶんされていない)脱税となります。今回の場合、こちらになる政治家が出る可能性もあります。

今回の問題が深刻なのは、政治資金規正法を制定した自民党の幹部や多くの議員が違法(脱法)行為を行っていることです。国会は民主主義の基本である三権分立制度の下で立法を司る立法府ですが、今回の事件はその議員が自分らが制定した法律を守る気がないことを証明していることになります。これでは法律の対象である国民が法律を守るはずがありません。今回の事件で日本の国会は立法府でなく脱法府であることが明らかになりました。もう自民党は終わったと思われます。