もう本格的な時代劇は作れないのでは

最近夜の6時半から7時半にかけて空き時間があり、BSTBSで水戸黄門を見ています。水戸黄門はTBSで1964年から2011年まで47年にわたって放送された人気番組でした。私は東野英治郎さんが黄門役を務めた1970年代の水戸黄門が記憶に残っています。東野さんの歴史が刻まれた顔つきやカッカッカという笑い声が好きでした。そのあと黄門役は何人か変わりましたが、みんな偽物にしか思えませんでした。それと共に登場人物や芝居が陳腐化し、いつしか見なくなってしまいました。ところがこの11月になってたまたまチャンネルを合わせたら引き込まれてしまいました。多分1970年代に作られた番組をデジタル化したもので、映像は悪くないし、役者も芸達者な人が揃っていました。東野さんの黄門様に、里見浩太朗さんの助さん、横内正さんの格さん、中谷一郎さんの風車の弥七、高橋元太郎さんの八兵衛となんか落ち着く顔ぶれでした。ストーリーも黄門様一行が陸奥(みちのく)を旅する設定で、陸奥各藩の藩主や家老なども登場し、大掛かりな内容になっていました。水戸黄門を見なくなったのは役者が代わったこともありますが、内容が悪徳商人や悪代官を黄門一行が成敗すると言ったワンパターンになっていたことも大きかったので、久々に本格的な時代劇を見たような感覚になりました。黄門シリーズでは毎回お姫様や町娘役で魅力的な女優が登場するのですが、陸奥シリーズでも目を奪われる女優が出演していました。私が一番目を奪われたのは、ある回から突然登場した風車の弥七の女房のお新さんでした。これが色っぽくて可愛い女性だったのです。誰かと思ってネットで調べたら宮園順子さんで、放送当時も大人気だったようです。宮園さんは20代だったと思われますが、20代であれだけの色っぽさと可愛さを出せる女優は、今はいないと思います。それにある回に町娘役で吉沢京子さんが出ていて、感動しました。柔道一直線の桜田健一さんの相手役で出ていた当時のままで、やっぱり娘役はこの人が一番だと思いました。これは見る価値があると思っていたら陸奥シリーズが終了し次のシリーズが始まったらまた毎回黄門一行が悪徳商人と悪徳代官を征伐するお決まりのパターンのとなり、がっかりしています。

最近の時代劇は見るに堪えません。これは時代劇があまり作られなくなったことと、高橋英樹さんや里見浩太朗さん、北小路欣也さん、松平健さんらの時代劇俳優が高齢となり、時代劇で育った役者さんがいなくなったせいではないでしょうか。もう本格的な時代劇は作れないような気がします。時代劇は日本の歴史遺産であり、時代劇役者は歌舞伎役者のように保護する必要があるように思われます。