能登地震で分かる国民自然災害保険制度の必要性
今年の正月に発生した能登地震では238人が死亡(1月31日時点)し、損壊した家屋は約4万8,000個となっています。地震により100人を超える死者が出たのは熊本地震(276人)以来だそうです(ただし東日本大震災では津波で22,215人の死者・行方不明者が出ている)。
地震から1か月が過ぎ、やっと生活再建に動き出した感じがありますが、自宅の全損壊が多く、住宅問題が被災者の最大の悩みの種になりそうです。今回政府は被災者に対して被災者生活再建支援法による300万円の支給のほか、住宅が半壊以上の高齢者に福祉対策として追加で300万円支給することを決めたということです。これだけあれば公営住宅や災害公営住宅に移る年金暮らしの高齢者であれば、生活の目途が立つかも知れません。
問題はそれ以外の人たちです。住宅が損壊した人たちの中には住宅ローンを抱えていた人もあるでしょうし、そういう人は新しく融資を得て住宅を新築することは困難なことが多いと思われます。これは地震および洪水などの自然災害の度に繰り返される問題です。
地震を筆頭に日本ではどこでも何時でも自然災害が起きても不思議ではなく、誰でも被害者になる可能性があります。これは自動車保有者がいつ事故を起こすかわからない状況とおなじです。自動車保有者には、事故の被害者が損害賠償を受けられるよう自動車賠償責任保険への加入が義務付けられています。そもそも日本には、いつ何時なるかも知れない病気に対処するための健康保険制度が完備されています。日本では地震や豪雨などの自然災害による被害はこれらと同じくいつ誰に降りかかってきてもおかしくないものであり、これへの備えは、国民的保険制度として確立した方がよいのではないでしょうか。そのため、個人加入となっている地震保険も吸収し、国民自然災害保険制度を設けることが考えられます。これは、全世帯加入が義務で、例えば毎月各世帯保険金として500円拠出します。年間では6,000円で6,000万世帯とすると年間3,600億円が集まります。これを原資として、地震や豪雨で住むための住宅を失った人に1人2,000万円を限度として住宅再建資金を提供します。これにより被災者は住むところは確保できます。自然災害で住宅を失っても保険で再建できるということになれば、人生に大きな安心感が生まれます。日本に生まれてよかったという気持ちになります。日本に住む人たちの一体感を高めるためにも必要な制度だと思います。