予備自衛官を増やすには企業の協力が不可欠

能登地震では派遣自衛隊員の少なさが問題になりましたが、災害対応を自衛隊に頼る現状は問題があります。自衛隊は防衛が本来任務であり、自然災害への派遣はできるだけ控えるべきなのは当然です。そのために自治体に危機管理担当者を置き、自然災害に対応する体制を構築しているはずですが、各地の地震などの自然災害対応を見ているとさっぱり効果が見られません。そこで困った時の自衛隊頼みとなっていますが、自然災害では正規の自衛官よりも予備自衛官を充てた方が良いように思われます。予備自衛官は現在約33,000人(定員47,900人)いると言われており、能登に派遣された自衛官が約5,000人なので代替することが可能です。もちろん輸送艦やヘリ、大型トラックなど代替が効かない任務もありますが、救助や物資の運搬配給、避難所支援など多くの業務が予備自衛官で代替可能です。今回は予備自衛官100人の募集に400人が応募したと言われており、予備自衛官もこういう活躍の場を望んでいることが伺えます。

予備自衛官は招集教育訓練を受けて登録すると通常は一般の仕事をしながら年間5日間の訓練が義務付けられているだけですが、予備自衛官という自覚のもとに日頃から体力増強に努めているはずであり、招集に応募するのはその中でも体力に自信のある人たちになりますから、十分戦力になるはずです。

予備自衛官には一般と技能の2つの種類があり、一般は兵士要員であり、技能は資格が必要な専門職です。一般は体力が必要なので34歳未満、技能は資格と共に実務経験が必要なので53~55歳未満となっています。災害派遣の場合、一般予備自衛官が対象となります。一般予備自衛官になるには、50日間の招集教育訓練(3年間に。技能は10日間)を受けて登録し、あとは登録している間年間5日間の訓練(射撃訓練もあり)を受ける義務があります。登録期間中は月4,000円の手当が支払われ、訓練期間中は1日8,100円が支払われると言うことです。収入的には魅力的とは言えないので、予備自衛官になる人は社会貢献を目的とする人が多いものと思われます。今後日本が高齢化社会になることを考えると、社会貢献としての予備自衛官の役割は益々大きくなると思われます。

従って予備自衛官の数を増やす必要がありますが、そのためには企業の支援が欠かせません。例えば、

1.社員が予備自衛官に登録することを推奨する。そのための招集教育訓練を受ける場合、特別有給休暇(所定の有給休暇とは別枠)扱いとする。

2.社員が予備自衛官に登録した場合には、社会貢献手当(国と同額の4,000円以上)を出す。

3.訓練および自然災害で招集された場合または派遣を希望した場合には、特別有給休暇扱いとする。

4.学生時代に招集教育訓練を受け予備自衛官に登録している学生を採用上有利に扱う。

ことが考えらえます。企業の社会貢献として有益であり、社員の健康増進・健全なモラル・社風の維持の観点でも有益です。