NHKネットは自由契約ならテレビも自由契約へ
放送法を改正してNHK番組のネット配信をNHKの必須業務に含めることが閣議決定されたということです。どういうことかと言うと、NHKの必須業務はこれまでテレビ放送とされ、ネット配信は付随業務とされてきました。その結果ネット配信に使えるNHK受信料収入は年間約200億円に制限されていました。しかし世の中ネットで映画やテレビ番組を視聴する人が増えており、民間放送局はネット配信を強化して将来のネット配信中心時代に備えていました。そんな中NHKの受信料収入はネット配信には使えないとすると、将来テレビ放送が廃れたときにNHKだけ取り残される可能性があります。そこでNHKとしてはテレビ放送とネット配信の区別をなくし、NHK受信料収入をネットの配信のために使えるようにして、ネットでの視聴者を増やして行こうと言うわけです。
これによりNHKはPCやスマホなどネット受信が可能な端末の所有者からも受信料を徴収する計画だとの声もありますが、それは不可能だと思われます。ネット端末所有者は世界中におり、これらを対象にするのは無理ですし、日本国内居住者に限定するにしても今の受信料徴収という形は無理であり、税金として徴収するしかなくなります。税金化するとなれば選挙の争点となりますので、政権党としても安易に承認できなくなります。その結果NHK受信料は縮小するか廃止される運命となります。従ってNHKとしてはネット受信契約を増やして行くしかありません。この結果NHKテレビ受信料についても見たい人が契約する制度にすべきという流れになることは確実であり、テレビ受信機および世帯単位の受信料徴収制度は崩壊することになります。
このことはNHKも覚悟していると思われます。なぜならNHK受信料制度の手本になった英国では、2027年度を最後に受信料制度の廃止を予定しているからです。これは保守党政権が大勝した選挙(2020年12月)での公約であり、担当大臣はこれが最後の受信料となると明言しています(受信料は5年単位で承認される)。これに対して受信料で運営されているBBCはこの流れを予測しており、ネット配信を強化していました。受信料が廃止される2028年以降BBCはネット放送局に生まれ変わろうとしています。英国保守党がBBC受信料の廃止を公約にして選挙に大勝したことから、2022年にはフランスのマクロン大統領も大統領選挙でフランス公共放送受信料廃止を公約に掲げ、大統領当選後公約通り廃止しました(税金を充てている)。このような流れはNHKも総務省のNHK担当部署も十分に承知しており、今回のネット配信業務の必須業務化はNHKが将来ネット放送局に移行することも想定してのことと思われます。NHKがネット放送局に移行したとしても当面の間緊急時のテレビ放送体制は維持されると思われ、このコストは税金で賄われることになると思われます。いずれにしてもNHKのネット配信必須業務化はNHK受信料廃止に向けた第一歩となると思われます。NHK受信料の廃止を早期に実現するためには、次の総選挙でNHKの守護者である自民党に投票しないことが必要です。