「子育て支援金追加負担0」で自民党は大負け
少子化対策関連法案が4月19日の衆院本会議で、自民、公明両党の賛成多数により可決され、衆院を通過しました。
この法案は、
・現在中学生までとなっている児童手当支給を高校生年代まで延長し、所得制限も撤廃する
・両親が共に育休を14日以上取った場合、育休給付を最大28日間、実質10割に引き上げる
・保育サービスも拡充し、親の就労に関係なく預けられる「こども誰でも通園制度」を設ける
などの少子化対策を実施するため、「子ども・子育て支援金」を2026年度に創設し、社会保険料に上乗せして徴収することを内容にしています。
これについて岸田首相は、「国民に新たな追加負担は生じない」と主張していますが、意味が分かりません。「追加負担は生じない」との首相の主張は、社会保障費などを削減し社会保険料の伸びを抑え、抑えた伸び分が支援金になるのだから追加負担ではない(社会保険料の伸び分にプラスして支援金が増えるのが追加負担)という理屈のようです。ならば何の歳出がどれだけ削減され、その結果社会保険料の伸びがどれだけ抑えられるのか明確にする必要があるますが、それは全く示されていません。家計から見れば支援金分だけ支出が増えますから、負担増となることは明らかです。
岸田首相は「国民に新たな追加負担は生じない」という説明を繰り返しており、これを聞いた国民は「馬鹿にするな」という気持ちだと思われます。
少子化対策として今後3年間で新たに年最大3兆6,000億円の財源が必要となり、支援金は2026年度から徴収を始め、段階的に引き上げて2028年度には1兆円になるとしています。これによると残り2兆6,000億円は主に社会保障費を減らした分を充てることになりますが、減らした社会保障費分は国庫負担から国民負担となるだけであり、国民負担の削減にはならないことは明らかです。例えば、医療保険の窓口負担割合の引き上げ、国民年金への国の繰入額の削減、介護保険の自己負担額の引き上げなどが行われることが考えられますが、これは国の負担が減り国民の負担が増えるだけです。社会保障費削減の具体的事例が示されれば、このトリックが明らかになることから政府は決して削減の具体例を示しません。
更に岸田首相は国民1人当たりの支援金額は月500円弱と説明していますが、政府が示した負担額の試算によると、2028年度は会社員らの被用者保険では年収600万円で月1,000円、年収1,000万円の場合は月1,650円となっており、「嘘つけ!」の実態となっています。
このような岸田首相の詭弁は防衛費増税でも同じです。防衛費は2023年度から2027年度までの総額を約43兆円とすることが決まり、2022年の5兆4千億円ベース(5年総額27兆円)からすると16兆円、年間3兆2千億円の増加となります。岸田首相はこの財源のうち年間1兆円は増税によると明言しています。しかし増税部分以外の2兆2千億円の財源は決まっておらず、これも結局増税するしかなくなります。その結果防衛費の増加分年間3兆2千億円は全額国民負担となることになります。
このように岸田首相は出鱈目な説明で自分の任期を乗り切り、将来の政権で国民負担を露にする戦略です。この狡猾さが岸田首相が国民から嫌われている原因であり、低い内閣支持率になっています。近い将来岸田内閣支持率が10%を切るのは間違いないと思われます。それでも岸田首相は自民党支持率が尚30%(28.6%。4月のNHK調査結果)近くあることから7月か9月に解散総選挙に打って出ると考えられますが、自民党は第3党になるくらいの負け方となるはずです。子育て支援金の岸田首相の詭弁は絶対に許せないレベルです。