川勝知事は京都人の典型
川勝静岡県知が4月1日の県職員入庁式で述べたことが原因で辞職することとなりました。
その言葉と言うのは
「実は静岡県、県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです。毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです。」
というものです。この表現が農業や畜産業、製造業従事者を馬鹿にしたと採られてしまいました。本人は翌日の記者会見の初めの方では「問題となっている発言は、挨拶の一部を切り取られたものであり、全部を読んでもらえば馬鹿にする意図はないことが分かるはずだ」と強気でしたが、最後に辞職を表明しました。たぶん問題にする報道を見たあと挨拶文を読み直してみて、「これはまずいな」と思ったのでしょう。川勝知事は2021年10月の参議院補欠選挙で自らが応援する候補の応援演説で、
「今回の補選は、静岡県の東の玄関口、人口は8万強しかないところ。その市長をやっていた人物(若林元御殿場市長を指す)か。この80万都市、遠州の中心・浜松が生んだ、市議会議員をやり、県議会議員をやり、私の弟分……こういう青年、どちらを選びますか。こちらは食材の数も、439ある静岡県のうち3分の2以上がある。あちらはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている。こちらにはウナギがある。カキも出てくるし、シラスも出てくる。そして『三ヶ日みかん』もある。肉もある。野菜もある。タマネギもある。もちろん餃子もある。何でもある。そういうところで育んできた青年を選ぶのか。はっきりしています」
と述べましたが、このうち「(御殿場には)コシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それが農業だと思っている」部分が批判されました。応援弁士が相手をけなす発言をするのはよくあることですが、静岡県全体の責任者である知事の発言としてはちょっと問題があります。これに対して県議会で辞職勧告決議案を可決されましたが、川勝知事はこれには応じず給与と期末手当約440万円の返上を表明しました。その際次回このような発言があったら辞職すると言っていたようです。
川勝知事の「コシヒカリしかない」発言は応援弁士としてはよくある受け狙いの発言ですし、「野菜を売ったり・・・」発言も、挨拶文全体としては学者知事らしい知的な内容です。この問題発言も「勉強しなくてはいけない」という文脈の中で出てきています。この2つの問題は、川勝知事が長らく学者(早大政経学部教授、国際日本文化センター教授、静岡文化芸術大学学長)をしており、研究手法とて分析と分類および比較を多用していたことから出てきたものと思われます。御殿場と浜松を比較し、御殿場「コシヒカリのみ」、浜松「ウナギ、カキ、シラス、三ケ日ミカン、肉、野菜、タマネギ、餃子と何でもある」と言っており、まるで子供の自慢合戦で、悪意はないことは明らかです。一方「野菜を売ったり・・・」の発言はこうは行きません。明らかにシンクタンク(県庁)の職員は、農業や畜産業、製造業従事者より貴いと言う分類や比較が見られます。これは新入職員を励ますために言ったものでしょうが、県民を貴賤で分類した時点で、県の代表者失格と言えます。
これについては川勝知事の潜在意識が顕在化したものという見方がありますが、更には川勝知事が生まれ育った京都の人たちの悪癖が顕在化したとも言えます。京都は個性的な人が多い関西でもちょっと特殊だと思われます。関西では、思いっきり個性を発揮する大阪人、自分を格好よく見せようとする神戸人、そもそも自分を表に出すことを良しとしない京都人に分けられます。京都人と他の地域の出身者との会話には京都人の通訳が必要なほど建前と本音が違います。川勝知事の発言を見ると、全体的内容は(表面的には)知的で柔らかい表現ですが、一部に隠されていた本音が現れており、典型的な京都人だと思われます。