報道の自由度70位が示す御用新聞の末路
5月3日国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)英国支部は2024年の「報道の自由度ランキング」を発表しました。調査対象の180カ国・地域のうち日本は前年の68位から2つランクを落として70位になっています。
1位はノルウェー、2位はデンマーク、3位はスウェーデンで上位3カ国は北欧諸国が占めています。G7ではドイツ10位、カナダ14位、フランス21位、英国23位、イタリア46位、米国55位となっています。アフリカのコンゴ共和国でさえ日本よりランクが1つの上の69位です。内訳を見ると政治指標73位、経済指標44位、法的枠組み指標80位、社会指標113位、安全指標71位となっています。
評価の理由として国境なき記者団は、
日本は「議会制民主主義国家で、メディアの自由と多元主義の原則は尊重されている。しかし伝統的な利害関係やビジネス上の利害関係、政治的圧力、男女間の不平等が、ジャーナリストが監視者の役割を果たすのをしばしば妨げている」
「伝統的なメディアはニュースサイトよりも依然として影響力が強い。主要な新聞社や放送局は国内の5大メディア・コングロマリットによって所有されている。読売、朝日、日本経済、毎日、フジサンケイだ」。
そして「世界一の発行数を誇る読売新聞は1日当たり620万部、朝日新聞は360万部。一方、日本放送協会(NHK)は世界最大級の公共放送局だ」
と述べています。要するに、メディアと取材対象のしがらみが強いこと、マスコミの寡占が著しいことが要因のようです。
これについては概ね同意できます。新聞社は消費税2%の免除、系列放送局の電波使用免許を受けるなど、政府自民党から特権を受けており、政府自民党が打撃を受けるような報道はできません。また官庁や国会の記者クラブも実体は取材される側と取材する側の利益共同体であり、取材する側は取材される側の意図する報道をすることになります。この結果、マスコミは政治支配者の御用報道機関化しています。特に司法においては、捜査機関が捜査情報をマスコミ記者にリークし、マスコミ記者をそれを裏付けも取らず特ダネとして報道しますが、これは公務員の守秘義務違反と国民の公平な裁判を受ける権利の侵害にあたります。
新聞の発行部数においては読売新聞が世界一ということですが、読売新聞幹部は自民党の政治家と近いことで知られており、自民党機関誌とも言える存在です。一方朝日新聞はアンチ自民党的な立場でしたが、主張が書生臭く厳しい世の中で暮らす国民の共感を得られなくなっています。この結果自民党政権であることと相まって読売新聞は余り部数を減らしていませんが、朝日新聞は大きく部数を減らし、将来的な存続さえも危なくなっています。
新聞全体では最盛期約5,000万部あった発行部数は昨年3,000万部を切り、年間200万部近い減り方をしていますが、この最大の理由は、インターネットのリアルタイムな情報に新聞の紙面報道では太刀打ちできなくなったことですが、それと共に新聞の報道は政府や自民党など支配層の広報記事が多いことがあると思われます。ようするに新聞には国民を操作する意図が垣間見られるのです。みんな操作されるのは嫌だから読まなくなります。これが新聞購読部数減少の要因の1つであり、国境なき記者団の指摘は当たっているように思われます。こう考えると今のままの実態で生き残る新聞社はないと考えた方がよさそうです。今後購読部数の減少幅が大きくなるのは読売新聞だし、日経も企業の広報記事だらけなのが分かってきて減少します。