韓国には極める文化がある

5月2日開幕したJLPGAメジャー大会ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップでは、韓国アマチュアチャンピョンリ・ヒョソン選手が最終日に猛チャージを見せ逆転優勝しました。3日目までは韓国のKLPGAツアー昨年の賞金王のイ・イェウォン選手がトップでした(最終順位は3位)。4位タイには世界的強豪申ジエ選手、6位にはペ・ソンウが入っています。上位の結果だけ見ると韓国オープンと見間違う程です。イ・イェウォン選手については、一緒に回った岩井千怜選手が「まるで精密機械」と言っていましたから、高い技術の持ち主のようです。しかし彼女は2021年プロデビューのまだ21歳です。優勝したリ・ヒョソン選手に至っては15歳です。韓国の女子プログルファーは世界最高峰のLGPAツアーでも多数活躍しており、女子プロゴルフ界では米国と並ぶ強豪国になっています。これらの選手が全員才能豊かとは思えず、それでもこれだけの選手が世界で戦えるのは育成・教育に秘密があるように思えます。

韓国はエンタメでも世界的ですが、Kポップを見るとダンスや歌唱ばかりでなくスタイルや表情、服装まで一部の隙もないくらい磨き上げられています。日本の場合AKB48や欅坂46のように素人芸の延長みたいに仕上げて親しみを持たせ人気を得る戦略ですが、韓国の場合素人では届かないような作品に仕上げて人気を得る戦略のように思えます。この両者を比較すると世界的に通用するのは韓国のやり方です。その結果Kポップは世界中で人気を博しています。

実はモノづくりでも同じ傾向にあります。例えばサムスン電子は半導体、スマホ、テレビで世界トップ企業ですが、いずれも高級品に強みがあります。日本では韓国製品=安物と思っている人が多いようですが、全く違っています。日本製品の方こそ安物になっています。その結果、サムソン電子は1昨年約5兆円近い営業利益を出し、世界一儲かっているメーカーとなりました。韓国の1人当たり年収は日本を上回っており、もう安い製品を作っていたら経営できない状態のようです。日本のメーカーも1980年代に円高に見舞われ、安い製品では採算が合わず高級品を目指しましたが、実現できませんでした。しかし韓国メーカーは実現できています。

なぜできたかと言うと、韓国には伝統的に極める文化があるからではないでしょうか。日本の陶器技術の多くは朝鮮半島からもたらされたものであり、有田(伊万里)焼きは今でも高級陶器として有名です。それが韓国メーカーがすんなりと高級品に移行でき、Kポップなどの韓国エンタメが世界で評価され、韓国女子プログルファーが世界で活躍できる背景にあるように思われます。

現在の日本と韓国の関係は、日本が陶器の技術を朝鮮半島から学んだ時期に相当し、日本は韓国から学ぶ立場なっていると思われます。日本が今の中途半端な製品作りから脱するには、韓国に学ぶ必要があります。