マンションは30年以内に売却すること

私は東京で30年くらい暮らし、2000年頃品川区にある中古のマンションを購入しました。1990年頃建てられたもので、建設計画はバルブの最中に建てられたものであり、構造的には頑丈なものになっていましたが、その後バブルが崩壊し計画の販売価格では売れなくなり、内装は相当グレードダウンされていました。それでも売れなかったらしく、完成後10年近くある会社の社宅として利用されていたものが売りに出されたものでした。住宅街にある戸数23個という小規模マンションでしたが、2駅が徒歩10以内にある便利なマンションでした。住宅街なので貸し駐車場がなく、マンション地下に機械式駐車場があったのは車の所有者には魅力だったようですが、駐車場代金は月額32,000円~34,000円と高額でした。それでも満車で、車は外車が中心でしたから、住人は高収入の人が多かったものと思われます。毎月の管理費は2万円から3万円で、それ以外に18,000円~25,000円の修繕積立金がありました。駐車場の収入を管理費に組み入れていたことから、23戸にも関わらず管理人がいました。

これはいいマンションを買ったと思っていたら、だんだんそうでもないことが分かってきました。20年目の大規模修理が近くなって修繕積立金が大幅に足りないことが分かって来たのです。わずか23戸であるにも関わらず修繕積立金は1個当たり2万円くらいですから、1年で約5百万円、10年で約5,000万円にしかならず、10年目の大規模修理でも1億円以上かかっており全く足りない状況でした(10年目に1億円以上の資金があったのは、前のオーナー会社がまとまった額を置いていったため)。隣にちょっと古い大規模なマンション(200戸程度)がありましたが、管理費と修繕積立金で一戸当たり5万円程度となっており、私のマンションは売買を容易にするためにこれらが安く設定されていたようです。

私は2011年3月このマンション在宅中に東日本大震災の地震を経験しました。床を重機で叩いているような衝撃を覚えています。それでも構造ががっしりしていたため、建物が崩壊する危険は感じませんでした。しかし当時は3年以内に東京が大地震に襲われると言われており、東京に住み続ける危険を考えるようになりました。そんなこともあって2016年にマンションを売却し九州に引っ越すことにしたのですが、この際マンションは築25年近く経っており、このままでは管理費と修繕積立基金問題でマンションの運営が成り立たなくという危惧もありました。このマンションの住民の多くが60歳を超えており、高額な管理費や修繕積立金は払えない人も出てくると思われました。実際一時期管理費を払えない人もいました。築25年でこんな状況ですから30年以上たったマンションは65歳を超えた年金暮らしの住人が大部分になります。そうなると管理や修繕積立金の値上げも容易でなく、管理の質を落とす、大規模修繕をしないと言うことになります。それにマンションは子供に相続されることは無いことにも留意する必要があります。そのマンションで育った子供が引き続き住むことはなく、別のところに新しいマンションを購入して住むのが大部分です。そうなるとマンションが老人ホーム化します。さらには住む人が少ない廃墟マンション化することになります。30年経ったマンションにはこんな末路が見えてきます。現在1970年代前後に販売された東京近郊のニュータウンで起きている現象が都心のマンションでも必ず起きると予想されます。30年を超えたマンションは買わないし、30年になる前に処分した方が賢明です。