自転車の次は歩行者に反則金?
5月17日に改正道路交通法自転車に関する法律が改正され、自転車の違法な運転に対する反則金制度が2026年までに実施されることとなりました。信号無視や一時不停止、スマートフォンの「ながら運転」など約110種類の違反行為が対象となり、青切符が交付されます。青切符とは、比較的軽微な交通違反について、刑事処分に代えて反則金の納付という形で処理するものです。自動車では、重大な交通違反に対しては赤切符が交付され検察官が処分を決めます(刑事罰となる)が、自転車についてはないようです。
取り締まりの対象は16歳以上で、反則金の額は5,000円~12,000円と原付バイクの反則金と同額になる見込みということですが、自転車の違反行為は原付バイクのそれと比べ危険度が相当低いことを考えると、合理性に乏しいと思われます。納付された反則金は、まず国(国庫)に納められ、交通事故の発生件数や人口の集中度などを考慮して都道府県や市区町村に「交通安全対策特別交付金」として交付され、交信号機や道路標識、横断歩道橋など国が政令で定める道路交通安全施設の設置や管理の費用に充てられることになっていますので、国の歳入増加策の一面が強そうです。
こう考えると交通関係の反則金は今後益々増加すると予想されます。現在警察は自転車に乗る人にヘルメットの着用を呼び掛けていますが、これもいずれ法律で義務化して違反者に反則金を課してくると予想されます。自転車に乗っている人が自転車事故で頭を打って死亡するまたは重傷を負うケースはわずかしかないこと、自転車事故では歩行者がケガを負うことが多いことから、自転車事故で守るべきは歩行者であることを考えれば、自転車に乗る人にヘルメットの装着を義務づけるのは行き過ぎであることが分かります。自転車事故による死者は2023年度で358人と山岳事故による死亡者(2022年度で327人)と変わらないレベルであり、自転車事故による死亡者を減らすために自転車に乗る人にヘルメット装着を義務付けるのなら、登山も禁止することになります。
警察の政策は国民が支払うお金と効果が見合わないものがあり、表面上は国民の生命や安全を守ると言いながら、真の目的は警察の収入や天下り先を増やすことを狙っているものがあります。例えば現在自転車を購入すると防犯登録が義務化されていますが、それにより警察は約35億円(580万台×600円。2022年度)の収入を得ていますが、防犯登録しても盗まれた自転車を警察が積極的に探すとは思えません。確かに防犯登録していれば返ってくる可能性は高まるとは思いますが、防犯登録は任意でよいと思われます。
このように警察は国民の生命と安全を守ることを口実に警察が自由に使える収入を増やすことを虎視眈々と狙っており、次は歩行者の違反行為(横断歩道を走った、横断中に赤になっていた、エスカレーターを歩いたなど)を設定して反則金を課してくることが考えられます。