認証不正の続発は監督機関がサルだから

車メーカーで認証不正の発覚が相次いでいます。2022年3月に日野自動車(日野)で認証不正が発覚し、日野はとんでもない会社と叩かれましたが、その後2023年4月にはダイハツで同じく認証不正が発覚し、今回トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキおよびヤマハでも発覚しています。日産、スバル、いすゞ自動車からは報告されていませんが、大丈夫でしょうか。認証試験は少人数で行っており、担当者以外はアンタッチャブルなことから、担当者が口を閉ざせば発覚することはありません。日産は下請けへの代金減額強制が問題化したばかりであり、認証不正があったとしても公表するわけにはいかなかった可能性があります。今後関係者からの内部告発がありそうな気がします。

では車メーカーにおいてなぜこうも認証不正が行われるのでしょうか?認証の多くは国際(国連)基準に基づいて行われており、不正が発覚したメーカーにおいても国際基準に参加していない米国向けは不正が行われていません。特に米国は基準が厳しく違反した場合の罰則も厳しいため、基準を詳しく把握し試験は厳格に行われていると言われています。ということは、認証不正は国内監督機関の緩さに問題があると言うことになります。認証の監督機関(国交省)に監督能力がないことを車メーカーの認証担当者が分かっているからです。おかしなデータを提出してもチェックされひっかかることが無いため、不正をしても大丈夫となったものと思われます。

国交省の認証担当者が車メーカーで認証試験を経験していれば、おかしなデータは直ぐわかります。例えば今回トヨタでは、後方衝突実験で国が定める1,100kgではなく、それよりも厳しい1,800kg(米国基準)の台車をぶつける試験を行ったデータを提出していたことが不正とされましたが、このデータは専門家が見れば異常値と分かると思われます。またはコンピュータに各社の認証データを保存し、それを比較するシステムとなっていれば、異常値は容易に発見できます。このように国交省の認証担当部署に認証業務に通じた人がおらず、かつ認証不正を発見するシステムもなかったことから、車メーカーの認証担当者に不正を行ってもバレないと確信させ、認証不正が続く原因となったと考えられます。ようするにサルが人間を監督するという現在の官庁制度の欠陥が認証不正続発の根本原因となっています。従って認証不正を根絶するには、メーカーの認証試験の標準化および透明化と共に、認証監督機関である国交省の体制変更(サルから人へ)が不可欠です。監督者がサルでは認証不正は防げません。

このことは最近日本で続発する検査不正でも言えます。例えば2021年に後発薬メーカー小林化工で承認を受けた製造方法と違う方法で薬を製造していたため、違う成分が混入されたという事件が発生し、その後多くの後発薬メーカーで同様の事例が発覚しました。この原因は、後発薬メーカーの監督は都道府県となっていますが、都道府県には薬の製造にかかわった経験のある職員がおらず、監督能力がなかったからです。このことが後発薬メーカーに見透かされ、何をやっても分かりっこないとなって不正行為が常態化しました。これを解決するには、厚生労働省の下に薬製造の経験者を集めた部隊を1つ設置するしかないことは自明のことです。しかしこれも行われていないことから、不正はなくなりません。官庁のサル化が不正続発の根本原因です。