朝日新聞にはまだ築地本社再開発がある

朝日新聞は最近購読部数(紙の新聞)を減らし続け、今年1月末の数字は349万部となっています。450万部を下回ったのは21年11月、400万部を下回ったのは22年9月であり、450万部→400万部は10ヵ月、400万部→350万部は16ヵ月かかっていますから、減少スピードは鈍化しているようです。この減少がデジタル新聞への移行によるものなら良いのですが、朝日新聞デジタルの部数は、22年12月30.5万部、23年3月30.5万部、23年9月30.5万部と横ばいとなっていますから、純粋に購読者が減っていることになります。

この結果朝日新聞の経営も苦しくなっているのですが、まだ有望な収益源が残されています。それは築地の東京本社再開発です。朝日新聞は2010年に大阪中之島で大阪本社の再開発に着手し、2017年に完了させています。敷地面積はい16,527㎡で、約200mの高層ビル2棟(床面積296,589㎡)を建設しています。ここは大阪の一等地に当たりますから入居者に困らず、収益物件となっているようです。築地の東京本社は敷地面積が16,386㎡と中之島の敷地とほぼ同じであり、中之島と同程度のビルが建てられると思われます。現在の東京本社ビルの床面積は73,700㎡ですので、約4倍の床面積の建物となると予想されます。これを賃貸に出せば年間100~200億円の賃料収入が得られることになり、一気に収益が改善します。こうなればじっくりデジタル新聞の強化を進められます。ネット銀行を見れば分かるように、ネット事業はシステム投資が膨大であり、採算ベースに乗るまで時間が掛かります。賃貸収入はネット事業の赤字を支えるには理想的と言えます。築地東京本社再開発が終了した暁には、朝日新聞はデジタル新聞の勝者となる基盤を獲得することになります。