石丸VS政治屋・テレビ屋・新聞屋

7月7日の東京都知事選挙で元広島県安芸高田市長石丸伸二氏が約166万票を獲得し、当選した小池百合子氏(約292万票)に次ぎ2位になり、一躍注目されています。石丸氏は安芸高田市長のとき議会と激しく対立したことで一部の政治マニアの間では名が知られていましたが、都民にはほぼ無名であり、今回の都知事選挙では泡沫候補と見られていました。私も蓮舫氏の惨敗は予想していましたが、石丸氏がこれほどの票を獲得するとは全く予想しませんでした。どうもユーチューブやSNSで訴えた政策や主張が拡散され、支持を広げたようです。この現象は2021年の自民党総裁選挙で高市早苗衆議院議員がインターネットで政策を発表した結果、その出来栄えにネット民が驚き、ネットで支持者を広げたのと似ています。私は投票前に石丸氏を見たことがなく、投票日翌日のNHK「クローズアップ現代」が石丸氏の選挙運動を取り上げていた中で初めて見ましたが、なかなか魅力的でした。もし私が石丸氏の街頭演説を聞いていたら石丸氏に投票したと思います。政策は吟味していませんが、街頭演説の印象で言えば「政治家臭さ」がないのです。いい意味で一般市民の感覚を持ち合わせていました。かつどう見ても頭がよさそうです。最近の市民は頭が良い人はあっさり認めます。しかし頭の良い人の多くがうま味を求めて政治家にすり寄るか、うま味を得るために政治家になります。石丸氏の場合、頭の良さを政治改革、日本の改革に使ってくれるような期待を持たせました。だから多くの人の支持を得たものと思われます。ネット民はネットで熱烈な支持を表明するけれど投票に行かないからあまりよい支持者ではないと言われてきましたが、今回投票率が60.62%と前回を5.62%上回っていますから、多くのネット民が投票に行ったものと予想されます。今回の石丸支持のネット民は投票に行くことまで呼びかけていたように思えます。

さて第2位になって一躍関心の的になった石丸氏を民放が放っておくはずがありません。選挙後日テレとフジの特番に出たようですが、これでの受け答えがネットや雑誌で物議を醸しています。私はフジの「Mr.サンデー」を見ましたが、確かにひねくれた物言いで印象は悪かったです。たぶんテレビのありふれた質問や予定調和な演出が嫌いなんだと思います。番組の中では元大阪府知事・市長の橋本徹氏や元明石市長の泉房穂氏との会話はまじめにこなしていましたが、司会の宮根さんとはまじめに会話する気がなかったように思えます。この番組の中で石丸氏は、自分の狙いは政治屋を追放することだと述べていましたが、石丸氏にとって宮根さんは政治屋に類するテレビ屋のように見られていたのではないでしょうか。宮根さんに振られて元乃木坂の山崎怜奈さんが質問した際に「フルボッコ事件」(そうでもなかった)が起きましたが、あれは山崎さんの質問が宮根さん臭かったからのように思えました。山崎さんは石丸氏の公約に「都政とは関係のない国政レベルのものがあったのではないか」と質問したと思うのですが(私も質問の趣旨が理解できなかった)、選挙結果とは殆ど関係なく今更聞いても仕方ないことであり、聞くのなら具体的にどの部分がそうなのかを指摘しないと行けなかったように思われます。この類の事件は、会社の新入社員や若手がベテランの実務担当者や専門家に聞きに行った場合にたまにあります。私も若いとき東大薬学博士の外資系社長から「聞きに来るときは調べられることは事前に全部調べてから来いよ!」と面と向かって言われたことがあります。それ以降専門家に聞きに行く場合は徹底的に調べてからいくようになりました。山崎さんが石丸氏にガツンと言われたのを見てあの時を思い出しました。あの場面は石丸氏の気質も考えずテレビ屋的に山崎さんに振った宮根さんが悪いと思います。

石丸氏にとってテレビは政治屋とグルであり、テレビマンは多くがテレビ屋と見られていると思われます。これは多くの若者の見方でもあり、石丸氏がテレビ局と揉めることは、多くの若者から支持されます。

なお今回の揉め事は、石丸氏VS政治屋・テレビ屋の構図ですが、石丸氏的にはこれに新聞屋が加わるように思われます。しかし新聞は石丸氏とテレビ局の揉め事には一切触れず、この構図に入れられないようにしているように思われます。しかし今後石丸VS政治屋・テレビ屋・新聞屋の構図になって行くのは必須です。この3つは三位一体であり、まとめて壊さないと日本の政治は良くなりません。