「可愛さ余って憎さ100倍」の膳場アナ叩き
7月14日午前8時から放映されたTBS「サンデーモーニング」で、直前に米国で起きたトランプ元大統領に対する狙撃事件の映像を放映し、膳場アナがゲストの藪中元外務次官に話を聞く中で、膳場アナが発した言葉がその後ネット叩かれています。その場面の会話を概ね再現すると、
膳場)選挙戦中にこういうことが起きました。民主主義の根幹である選挙を暴力で妨害してくる。許せないことではありますけれども、どういった影響がこの後出てくるのでしょうか?
藪中)これからの影響ですけれどもね。本来皮肉なことなんですよ。トランプさんの立場は銃規制に反対というね。そこでこういう事件が起きたと。ただ、こうやって拳をあげた姿っていうのは、『俺は元気だぞ』と。むしろ選挙戦から言うと変な話ですけどね。有利に働く可能性はあります。
膳場)すごくプラスのアピールにもなりかねないという感じがします。共和党、トランプ陣営が結束していくきっかけになるかもしれませんね。
私は膳場アナの発言のどこが問題なのかサッパリ分かりませんでした。たぶん多くの政治評論家、政治記者、国会議員、テレビのコメンテーターが膳場アナと同じ発言をしたと思われます。選挙期間中や選挙の直前にある政党の党首が事件や不慮の事故で亡くなった場合、弔い合戦とか言われ、その党首が率いる政党に有利に働くのは過去の通例です。従ってトランプ狙撃事件が米国大統領選でトランプ氏に有利に働く可能性があるというのは、何も特別な視点ではなく、むしろありふれたコメントと言えます。
膳場アナのこの発言に対するヤフコメを見ると、当初トランプ氏の生命が危険にさらされたのに「プラスのアピール」などと言うのは不謹慎過ぎるという声が多かったように見受けられました。これについては、膳場アナのコメントはトランプ氏が軽傷で済んだことが明らかだったから出てきたものであり、不謹慎(その場にそぐわない)ということはないと思われます。
暫くすると批判の主旨が変わって、「なりかねない」という言葉がおかしいという声が増えてきています。「なりかねない」という言葉には、「トランプ大統領は好ましくない」という膳場アナの判断が入っており、公共の電波で個人の判断を発するのはおかしいと言っています。まるで自民党がテレビ番組に自民党批判が含まれていたと言ってテレビ局に圧力をかけているようです。「なりかねない」という言葉は、普通「可能性がある」という意味に捉えるべきであり、膳場アナの反トランプの姿勢が出たものと言うのは言い過ぎです。
この膳場叩きから分かったことは、膳場アナには注目している視聴者が多いということです。ファンはこんな批判コメントは書き込みませんから、書き込んだのはアンチと言うことになります。アンチなら普通番組を見ないと思うのですが、「なりかねない」という普通の人は聞き逃す言葉を問題にしているということは相当注意深く見ているということです。膳場アナのことが気になるけれど振り向いてくれないと感じて反感を持っている視聴者かも知れません。ましてや膳場アナの発言に「人の心があるのか」「人の心がない」というコメントを書き込んでいる人は、「可愛さ余って憎さ百倍」の状態と思われます。
膳場アナの特徴は「ミスをしないこと」です。NHK、TBSとこれまでミスをした場面を知りません。「Doctor-X 外科医・大門未知子」流に言えば「私、ミスしないので!」でここまで生き残ってきた人です。可愛げもないし、気の利いたコメントもありません。そのため担当した番組はいずれも鳴かず飛ばずで、そんなに人気があるアナウンサーではなかったと思われます。
今回の膳場発言批判コメント事件で、膳場アナに注目している視聴者が多いことが明かになり、かつ発言は被害者もおらず問題になることではないことから、TBSに置いて膳場アナのポジションは盤石になったと考えられます。