検察は政府の介入には法相指揮権の発動を求めるべき

東京地検特捜部が自民党議員2人の捜査をしているようです。1人は堀井学衆議院議員で、もう1人は広瀬めぐみ参議院議員です。堀井学議員は裏金疑惑でも登場し、次の衆議院選挙には出馬しないと言われており、自民党にとっては痛くも痒くもありません。広瀬めぐみ議員も今年2月国会開会中に不倫が報道され、次の選挙での立候補は難しくなっていましたので、こちらも同様です。従って検察は自民党のダメージがない議員を選んで捜査に着手しているように思われます。これは6月28日に発表された検事総長関連人事が国民に自民党裏金事件を政府の要望通り処理した論功行賞と映っていることから、検察幹部としては自民党にも毅然とした態度をとることを国民にアピールする目的があるように思われます。

事件としては、堀井議員が香典(総額30万円程度)を有権者に配った公職選挙法違反、広瀬議員が国から払われる公設秘書の給与(約4百万円)を自分に還流させていた詐欺罪であり、金額も内容も軽微と言えます。国民としては、この両名よりも政治資金を裏金化していた自民党議員への処罰感情が強いと思われます。自民党裏金事件はあれだけ大甘な処分をして自民党に恩を売り、その穴埋めに雑魚議員の逮捕を認めてもらうのは、田舎芝居を見ているようです。

内閣人事局が出来て検察の幹部人事(検事総長、高検検事長および最高検次長)については、内閣人事局の承認が必要となりました。承認のポイントは政府自民党にとって不都合な人物でないことであることから、自民党大物の捜査または起訴については捜査着手前または起訴の判断前に検察幹部から政府幹部に説明し承認を取っているように見受けられます。私がこれを感じたのは安倍政権の幹部だった甘利明経済財政政策担当大臣が民間企業関係者から口利きの要請を受け大臣室で現金を受け取ったにも関わらず不起訴になったときでした。田中角栄元首相や金丸信元幹事長を逮捕していた頃の検察なら、甘利議員くらい逮捕・起訴していたと思います。それが安倍政権から一言言われ逮捕・起訴しなかったのですから大変質です。これは同じく安倍政権時代に起きた森友事件であれだけの偽造した議事録の証拠がありながら、偽造を指示した佐川財務局長を起訴しなかったのも同様です。安倍政権の場合、安倍首相=成蹊大、菅官房長官=法大、麻生副総裁=学習院という低学力政権でしたから、道理が通らないという事情はあったかも知れませんが、これがまかり通ったのは担当検察幹部の出世に直結したからだと思われます。私もサラリーマンが長かったので、出世に直結するとなると判断に影響するのは理解できますが、検察の場合政府と対立して悪影響が及ぶのは、検事総長、検事長くらいです(特捜部長や次席検事、東京地検検事正も将来検事長になれないという影響は考えられる)。しかし検察の人事を見ていると、検事正以上になると1,2年で交代しており、ほぼお決まりのコース人事となっています。この人事システムにおいて検事長、とりわけ検事総長になればその上は無い訳で、失うものはないと思われます。従って検察の判断に政府が介入する場合、検察は法律の定めに乗っ取って検事総長への法務大臣命令(指揮権の発動)を求めることを普遍化すべきだと思われます。そうすれば判断の是非は国民がする(法務大臣命令がおかしければ政権交代に至る)ことになります。政府から内々に起訴しないように要請があれば、唯々諾々と従っているように見える今の検察はみっともなく、国民の支持は得られません。