官僚の中で退職が一番多いのは検察官?

ヤフーニュースに掲載された読売新聞の記事によると、「キャリア官僚」と呼ばれる国家公務員総合職のうち、採用後10年未満の退職者が2022年度は177人に上り、現行の試験制度で入省した2013年度以降で最多となったということです。これまで採用後10年未満の退職者は、2013~2017年度は60~90人台で推移、2018年度に116人と初めて100人を超え、2020年度は新型コロナウイルスの影響で一時的に減少したものの、2021年度には168人になり、2022年度はこれを9人更新したことになります。退職の理由としては、「もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい」「収入が少ない」「長時間労働が常態化している」などが多かったということですから、解決される目途がないため今後とも増えることが予想されます。

この退職者の数には国家公務員試験を受けて採用されたわけではないことから検察官は入っていないと思われますが、採用後10年未満の検察官の退職者は相当な数に上ると予想されます。検察官の採用者数を見ると令和元年以降、65人,66人,71人,72人,76人と増えています。これは退職者(弁護士転身など)を補うために増員していると考えられます。

それと最近検察官か不足しているのではと考えられる現象が見られます。それは通常なら起訴されると思われる事件が不起訴になっているケースが増えていることです。私は熊本出身なのでネットで熊本のニュースをチェックするのですが、熊本地検が不起訴にしたというニュースが多いのです。暴行傷害事件や婦女暴行事件など「これは起訴だろう」という事件が不起訴になっています。この記事は熊本のローカルテレビ局の記者が書いていることが多いのですが、その記者もおかしいと思って書いているように思われます。まるで熊本で刑事事件を起こしても起訴されることはないと思わせる状況です。

なぜこんなことになっているかと考えると、検察官が不足していることに行き着きます。熊本地方検察庁の定員は検事12名(他に簡易裁判所担当の副検事12名)ですから、実務担当者は検事正と次席検事を除いた検事10名となります。これに相当欠員が生じているのではないでしょうか。そのため事件を選ばざるをえず、人手があれば起訴すべき事件を不起訴にしているように思われます。「これも不起訴?」という事件は他の地域でも増えており、実務経験のある検察官が辞めて不足していることが予想されます。それを補うために新卒の検察官を採用しても仕事は遅い、仕事を覚えたと思ったら辞めるで人手不足は深刻化しているように思われます。そのため仕事が雑になっており、国民の検察不信につながっているように思われます。このような状況を解決するには、大手法律事務所から2,3年勉強を兼ねて若手弁護士を派遣してもらうことを考える必要があるかも知れません。検察官不足は日本の治安を悪くします。