猛暑続きで川の水は腐っていますよ

8月中旬から熊本県天草市の轟の滝で水遊びをした高校生らが体調不良を起こし、8月22日には109人に上ったという報道です。このような地方のニュースは余り全国区の話題にはなりませんが、今回は全国放送のテレビニュースや全国紙でも取り上げられ、大きな話題となっています。水遊びでこれだけ多くの人が体調不良を起こしたケースはこれまでになく、何か特殊な原因(農薬を流したなど)があると思われているのかも知れません。

体調不良になった高校生によると、「最初腹痛で悪寒がしてから熱上がってきて、最高39℃くらいまで出ました。自分は吐くまでなかったんですけど、下痢とか…下痢と熱がすごかったです。下痢の症状が4日ほど続きました。」と言っていますので、食あたりの原因である細菌感染に似ています。

川に入った際の違和感として「水がぬるかったり、少なかったりっていうのはありましたね。」と言っていますので、滝壺の水が少ない中で水温が上昇し、増殖した大腸菌などの細菌が泳いでいる中で体に入った可能性が一番高いようです。実際天草市では、梅雨明け以降現在までほとんど雨が降っておらず、最高気温35℃以上の猛暑日が続いており、 普段は3本の滝が流れている轟の滝も、1本の滝になっていたということです。

私は10年くらい前1年間天草に住んでいたことがあり、本渡市から天草西海岸まで自転車で行ったことがあります(約25km)。轟の滝はその途中の西海岸(隠れキリシタンが多かった地域)の近くにあるのですが、その水は下天草島最高峰の天竺(538m。テレビ東京の「ナゼそこ?」という番組で紹介された)や2番目に高い角山(526m)周辺から流れ出たもので、山深いところを流れて来ているところから、普通は天草でもトップクラスの綺麗さ(と冷たさ)を誇ります。ただし天草の川は小さく短いことから今年のような猛暑日が続くと水量が減り大体給水制限になっていました。このことから分かるように天草の水質は普段でも悪く、私が一番驚いたのは、水道水がステンレスの流し台に飛び散った後には、白い模様が残ることでした。これは水質が悪い(細菌が多い)ことから浄水場で塩化カルシウムや塩化マグネシウムを大量に投入し塩素殺菌するためのようです(水道水に溶け込んだカルシウムやマグネシウムが白い粉末となって模様を作る)。浴室のタイルの壁には飛び散ったシャワーの水で1年後鍾乳洞のようにカルシムやマグネシウムが分厚く堆積していました。このような事実からすると轟の滝の水質が悪化していたことは容易に想像ができます。

私は現在福岡市に住んでいますが、近くを流れる二級河川の室見川もとんでもない状況になっています。室見川は近くの田に水を配給するため堰がいくつかあるのですが、その堰の表面には重油の塊のような汚物(スカムと言うらしい。川底のヘドロが発生したガスで浮き上がったもの)が無数に浮かび、悪臭を放っています。ところが堰から流れ出た水が少し傾斜があるところを流れているのを見ると、綺麗に見えるし悪臭もしません。従って堰の状態を知らない人は水遊びのため川に入りかねないと思われます(室見川沿いに住んでいる人は良く実体を知っているのでこの時期川には入らない)。今年は多くの地域で猛暑日が続いており、川の水は腐っていると思った方がよいです。