コバホークに清新さが感じられないのはなぜ?
自民党総裁選が9月12日に公示されますが、続々と候補者が名乗りを上げています。今回は麻生派を除く派閥が解散したせいで立候補しやすくなり、候補者乱立の様相です。その中で一番早く立候補を発表したのがコバホークこと小林鷹之衆議院議員です。コバホークは1974年生まれの49歳と立候補予定者の中では小泉進次郎議員の43歳に次ぐ若さです。当選4回ですから、以前なら立候補したくても推薦人20人が集まらなかったと思われます。コバホークは2021年10月4日に成立した第一次岸田内閣で内閣府特命大臣(科学技術政策・宇宙政策)に就任しましたが、兼務で経済安全保障法制を推進したことで注目されました。大臣就任は、岸田首相の開成高校の後輩だからとの声もありましたが、政策立案能力と円満な人柄は、自民党幹部の中でも評価されていたようです。ただし大臣在任期間は約10カ月ですので、仕事ぶりに対する岸田首相の評価は高かったとは言えないと思われます。コバホークの立候補発表会見に出席した議員を見ると当選同期が中心で、それにそれ以下の当選回数の議員、特に1回組が多くなっています。総裁選では当選回数の少ない議員の支持を小泉進次郎議員と争うことになると思われます。
このようにコバホークは自民党の当選回数が少ない議員の代表であり、若手に入るのですが、なぜか主張や行動に清新さが感じられません。政策を見ると経済成長を中心に据えるなどほぼ岸田政権を踏襲しているように思えます。また憲法改正を強調している点も特徴の1つです。経済成長を中心に据えていることから、経産族のドンである甘利明元幹事長や高市早苗現経済安保担当大臣の覚えがよく、支援や連携が期待できます。
私もコバホークの経歴を見て期待して見ていたのですが、その後の行動にはがっかりしています。どういう行動かというと、防災対策に力を入れることをアピールするため能登と神戸を訪問したこと、離島振興と安全保障をアピールするため石垣島を訪問したこと、安倍元首相の志を継ぐとして長門市にある安倍元首相の墓を訪問したことです。これらの政策を早くから持っていたのなら総裁選に立候補してからすることではなく一議員としてこれまでに済ませていなければならないことであり、総裁選立候補後に行ったことは、訪問地の自民党選挙人に対するアピールとしか思えません。これは猟官運動と同じ猟票運動であり、まるで長老議員のような行動です。コバホークは歳は若いけれど行動は長老的であり、自民党の体質にどっぷり漬かっていることが伺えます。それもそのはずで、コバホークは二階元幹事長に認められて衆議院選挙に立候補し、当選後は二階派に属していましたから、長老議員の転がし方は熟知しています。二階派で政界遊泳術を身に着けたと思われ、それがワザとらしい猟票行動となって現れていると思われます。これが清新さの欠如となって現れており、東京都知事選挙に立候補し泡沫候補から選挙後一躍時の人になった石丸伸二氏との大きな差となっています。政界お利口さんのコバホークが首相になっても若者の支持は期待できないと思われます。