政策調査費10年後公開で維新は自民党よりヤバい党になった
日本維新の会(維新)が変調をきたしています。維新の本拠地であり、大阪府知事および大阪市長を維新で独占し、かつ大阪府議会および同市議会で維新が多数を占める大阪の選挙で、維新公認候補の落選が相次いでいます。8月25日に行われた大阪府箕面市の市長選挙で維新公認の現職が無所属(前自民府議)にダブルスコアで敗れました。4月には大阪府大東市の市長選挙で公認候補が敗れています。このほか7月には府議補欠選挙で公認候補が落選しました。このように昨年まで大阪の選挙では常勝だった維新が嘘のような状態になっています。
これについては、維新が支援して誕生した斎藤兵庫県知事のパワハラ問題が影響していると言われていますが、大阪人がそれ程兵庫の問題に影響されるとは思われません。やはり大阪の問題に対する維新の対応に不満が溜まっていることが原因のように思われます。最大のものは大阪万博問題ではないでしょうか。1つは費用が膨らんでいることです。万博費用は昨年11月当初予定費用の1.9倍の約2,350億円の見通しとなりました。このうち約1,377億円については、国・大阪府・大阪市で負担することになることから、府民および市民にも影響が及びます。2つ目は350億円かけて作る巨大な木造リンクの問題です。万博の展示場はこの木造リンクの内側になっており、大阪万博の象徴的施設ではありますが、万博終了後には無用の長物となる可能性が高く、今となって府民や市民が維新による巨大な無駄使いと思い始めているように思われます。
更に輪をかけているのが国会における維新の変容です。今年5月自民党裏金問題から政治資金規正法を改正することになり、各党で協議が行われましたが、維新は政策活動費について「必要であり年間上限を決めて10年後使途を公開する」という改正案を提示し、自民党と合意しました。政策活動費は必要という点では自民党も同じでしたが、10年後使途を公開するというのは自民党もビックリの規制骨抜き案でした。この案については世間や党員からの批判が強く維新は6月、政策調査費廃止に転換しました。この様子を見て維新には議論というものが存在せず、数人の幹部が政策を決めている実体が見えてきました。これは大阪のオッサンにしか見えない馬場代表、東京のお調子者にしか見えない音喜多政調会長から感じていた有権者の不安が的中した出来事であり、これで維新は一挙に信頼を失くしてしまったように思われます。いうなれば、これにより維新は「自民党よりヤバい党」と見なされるようになりました。
このように維新の信頼失墜は、国政および本拠地大阪で連動しており、構造的なものです。従って11月にも予想される解散総選挙でも大阪での退潮を引き継いで惨敗が予想されます。