斎藤知事というより兵庫県庁幹部の問題
9月17日に兵庫県議会は斎藤知事の不信任案を全開一致で可決しました。これは告発された斎藤知事のパワハラの有無および告発の取扱い方に対して、県議会百条委員会で何も解明されていない中で行われおり、根拠不明です。県議会は斎藤知事に県政を混乱させた道義的責任があると主張しているようですが、道義的責任は本人が判断するものであり、第三者が責任を追及する根拠にはなりません。
告発の内容と県庁職員へのアンケートの内容が少し明からかになっていますが、斎藤知事に辞任を迫れるようなパワハラは認められません。告発者を厳しく攻めたてたのは副知事であることが会話内容から明らかになっており、斎藤知事は告発者と接触すらしていません。告発者が主張する斎藤知事のパワハラは伝聞、噂の類であり、公益通報に足る証拠がありません。昨年熊本県庁でも国益通報がありましたが、あの場合は証拠の録音テープがあり、どこにおいても公益通報として扱わる外形を有していました。熊本県の場合は新聞社に公益通報されており、兵庫県の告発者もこのやり方は知っていたでしょうから、証拠さえあれば新聞社に公益通報したものと思われます。如何せん伝聞、噂を集めたものでは新聞社は公益通報とは扱えません。
熊本県の場合も公益通報として扱いながら人事部が調査に当たっており、兵庫県庁と同じことが行われたものと思われます。熊本県の場合は途中で第三者委員会に引き継がれましたが、兵庫県の場合は第三者委員会が作られませんでした。それは偏に証拠がなかったからであり、どこでも同じことになったと思われます。例え第三者委員会が作られたとしても、具体的証拠がなければパワハラを認定するのは無理です。逆に言えば、斎藤知事はパワハラが無かったことを証明するために第三者委員会を作っても良かったと思われます(公益通報の妥当性の判断も委ねる)。
本件では副知事が告発者に問い質した会話が報道されていますが、かなり高圧的な言動であるように思われます。この副知事は副知事なる前から高圧的な態度・言動で知られていたようですので、斎藤知事は職員の抑えとして副知事に任命したものと思われます。外部から来た知事の場合、よくあるパターンです。
もう1つ問題として挙げられているプロ野球阪神とオリックスの優勝パレードへの協賛金を求める見返りに金融機関向け補助金を増額した件については、総務部長が担当課長に指示し、担当課長が折衝に当たったようですが、結果が思わしくなく最後は前に触れた副知事が金融機関を訪問し、補助金を増額することを条件に(補助金を原資に協賛金を支払う)金融機関側が了承したと言われています。これについては、担当課長が亡くなり金融機関は否定していますので、藪の中です。たぶんこれが事実であっても政策事項として違法性はないと思われます。
このように本件は斎藤知事をパワハラや不正行為で告発する内容でありながら、問題となる行為を行っているのは副知事や総務部長らの県庁幹部です。これに対して斎藤知事の責任を問うとすれば、副知事や総務部長に対して斎藤知事から指示があったことを証明する必要があります。また指示があったとしても具体的行動(高圧的態度)まで指示していない限り、違法性はないと考えられます。
兵庫県議会の不信任決議は、何一つ斎藤知事の責任を問える事実を提示しておらず、単に報道に流されたか、政争に利用したもののように思われます。テレビで報道される兵庫県民へのインタビューでは、「何も証拠がないのだから、辞任する必要はない。選挙で県民の審判を問えばよいのではないか」という声も聞かれます。斎藤知事は議会を解散し、選挙後の議会で再度不信任決議を受け解職、その後の県知事選挙に出馬するものと思われますが、案外斎藤知事を支持する県民は多いと思われます。斎藤知事にとって再選されなくとも、それが確認されればよいのではないでしょうか。斎藤知事は新聞・テレビが言う程悪いことはしていないと思われます。