理事偽装辞任のNHKは小林製薬と同じ

9月26日、NHKのラジオ国際放送の中国語ニュースで中国籍の外部スタッフが、沖縄県・尖閣諸島を「中国の領土」などと原稿にない発言をした問題を巡り、9月10日に引責辞任した傍田賢治前理事がメディア総局のエグゼクティブプロデューサーとして再雇用されていたと毎日新新聞が報じました。役員の引責辞任は、記者らによるインサイダー取引問題で当時の橋本元一会長らが辞任した2008年以来であり、厳しい処分をしたように言われましたが、これでは偽装辞任であり、実は全く反省していないことが分かります。

この問題は8月19日午後にNHKが放送したラジオ中国語放送(国際放送の一部)で、中国人スタッフが靖国神社の石柱に落書きがあったニュース原稿を読み終わった後20秒ほど、中国語で「釣魚島と付属の島は古来中国の領土です。NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルではない業務に抗議します」と述べ、更に英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」と発言し、そのまま放送されたということです。

これに対してNHKは、このスタッフと業務委託契約を結んでいた関連団体を通じて本人に厳重に抗議し、21日付で契約を解除した、今後損害賠償の請求や刑事告訴も検討すると説明しました。しかしこのスタッフは放送後その日のうちに帰国したと思われ、実際は本人に会えておらず「本人に厳重に抗議した」というのは嘘だと思われます。

本件に対する稲葉会長の頭は、総務省や自民党の総務委員会や情報通信戦略調査会委員を丸め込むことしかなく、これにはNHKで政治部長を務めた井上副会長が当たったものと思われます。今回の偽装辞任は総務省や自民党議員からの入れ知恵も疑われますから、NHKの経営委員会は経緯を十分調査し、会長以下関係者を処分すべきです。

前田前会長時代には様々なNHK改革がなされ、反発する職員がマスコミに前田改革を批判する(コンサル費用が増加している、職員の退職が増加しているなど)情報を流すケースが見られましたが、本件のような緩み切った事件や偽装辞任という破廉恥なことはありませんでした。稲葉会長は日銀理事出身であり事業運営の経験がないことから、NHK職員出身理事の操り人形になるのではないかと心配されましたが、現実のものとなっています。今回の偽装辞任も井上副会長の発案を稲葉会長が承認してのことだと予想します。

NHKでどうしてこんな破廉恥なことが行われるかというと、受信料収入が年間約7,000億円もあり、潰れる心配がないからです。昨年10月から1割の値下げを実施し、2024年3月期の決算では136億円の赤字になったとしていますが、現金は約644億円増加しており、偽装赤字であることが分かります(これまで余剰資金で購入した設備の償却費が巨額(約800億円)になるため損益は赤字となるが、償却費は現金支出を伴わないため現金は増えるカラクリ)。このためNHKは現金・有価証券を本体に6,481億円貯め込んでいます(更に関係会社に約1,000億円ため込んでいる。受信料を振り替えたもの)。これでは経営に緊張感がなくなるのは当たり前であり、今回のような不祥事と偽装辞任が行われるのは当然と言えます。今回の偽装辞任は、米麹事件で責任を取って辞任した小林製薬の小林一雅会長が特別顧問に就任し月額200万円の報酬をとることになっているのと同じパターンです。これについては社外取締役が機能しなかったと言われていますが、NHKでは経営委員会が機能していないことが分かります。

自民党の心ある議員(和田政宗議員や小野田紀議員を想定)はNHKの解体的見直しに着手して頂きたいと思います。それが行われるまで受信料を無理やり払わされている人は、選挙で自民党議員(上記2人を除く)には決して投票しないようにして下さい。