斎藤知事批判のヤフコメはアマゾンの不正レビューに似ている

兵庫県の斎藤知事が議会の不信任決議案を受け、9月30日に自動失職しました。私は議会を解散すると予想していましたので、意外でした。議会選挙となると多額の資金がかかるので、県民の反発が大きくその後の知事選にマイナスと判断したのかも知れません。

知事選は11月17日の投開票に決まったようですが、斎藤知事(もう知事ではないがこの呼称で統一する)も立候補を表明しています。本人は辞職するほどのパワハラは無かったし、告発の処理も問題なかったと言っていますので、当然だと思われます。実際百条委員会でもパワハラは認定されていませんし、告発内容も証拠がなく正当な告発とは扱えません。県議会の不信任決議の理由も県政を混乱させたことに責任があるとしており、パワハラや告発の取扱を直接的理由にしていません。

この問題は全国紙も取り上げていますが、これを掲載したヤフーニュースには多数の書き込み(ヤフコメ)があります。新聞記事自体が「斎藤知事が悪い(パワハラがあった、告発の取扱が不当だった)」という立場で書かれており、当初ヤフコメの殆どが「斎藤知事はけしからん」「すぐ辞職すべきだ」という内容でした。当然あって良いはずの「辞職に相当するようなパワハラは見当たらない」「通報者の氏名がなくパワハラの証拠も添えられていないので公益通報とは言えない」という意見は全くと言ってよいほど見当たりませんでした。どうも書ける状況ではなかったようです。

しかし最近のヤフコメには変化が見られます。前述の当然あってよいはずの意見の書き込みが増えています。また本件は5期20年続いた井戸県政に慣れ切った一部の県職員が斎藤県政の変化に付いていけず反乱を起こしたものという県民の意見も見られます。一方では斎藤知事応援コメントに対する激しい批判の書き込みが増えています。批判の主旨は「人が2人も亡くなっている事実が分かっているのか」「斎藤知事が再任されても県庁職員や議会と上手くいかない」という内容が多くなっています。

次の県知事選には11月5日現在6人の立候補者が名乗り出ていますが、知事選に関するヤフコメには新しい傾向が見られます。それは候補者乱立で斎藤知事が当選してしまうことを危惧するコメントです。「2人も殺した斎藤を当選させてはいけない」「斎藤を当選させないために自民党や維新は候補を一本化すべき」「斎藤では県職員が可哀そう」など悲痛な内容が多く見られます。これらのコメントを読んで気付いたことがあります。それは、コメントの内容が似通っており、文章力の近い人が多いということです。これはアマゾンの不正レビューに見られる傾向です。アマゾンでは商品レビューで売れ方に差が出るため不正(やらせ)レビューが横行し、今ではレビューが信用されなくなっています。アマゾンの不正レビューの特徴は、レビューの内容(文章)が似通っていることです。斎藤知事批判のヤフコメにもこの傾向が見られます。ただしかなり知的レベルの高い人たちが書いていると思われます。

そこで疑われるのは、兵庫県職員団体が組織的に書き込んでいることです。最近のコメントには斎藤知事が再選されることに対する悲痛な危機感が感じられるものが多くなっています。ある団体が世論操作をするためにヤフコメに大量に書き込むことは、能登地震の際にも見られました。能登地震の際には自衛隊の出動が遅く一部で批判されましたが、数か月後自衛隊の災害救助責任者が新聞の取材に応じ、精一杯の救助活動を行っており救助の遅れは無かったと弁明しました。その記事に関するヤフコメを見ると、異常な程の自衛隊称賛コメントで溢れており、いずれも同じようなトーンでした。通常のヤフコメは全くの素人から専門家まで落差が大きい内容になっているのが特徴であり、同じトーンのコメントが集まる場合、組織的書き込みがあったと判断できます。多分上層部の指示により自衛隊関係者が書き込んだものと思われました。これと似た現象が斎藤知事批判コメントに見られます。兵庫県の有権者はこのような視点でヤフコメを読まれることをお勧めします。ヤフコメは世論操作に使われてきています。