慶大卒の候補者には投票したら大学授業料爆上がり
慶大の伊藤塾長が中央教育審議会の部会で国立大学の授業料を150万円に引き上げるよう提案したことから、国立大学授業料の引き上げの動きが活発になってきました。先ず東大が2025年4月から10%の引き上げことを決定しました。東大が伊藤塾長の指示に従った構図です。伊藤塾長は値上げの根拠として、欧米の大学の授業料は300万円以上となっており、これくらいないと良質な大学教育はできないと述べています。しかしこれは米国および英国の有名私立大学の例であり、欧州大陸の多くの国(フランス、ドイツ、ノルウェー、オーストリアなど)では大学授業料は無償となっています。これは米国および英国は、大学教育の受益者は学生個人と考えるのに対して、欧州大陸の多くの国は、受益者は国と考えるからです。国の経済や科学技術が発展し国民が豊かな生活をするためには、それらに貢献する国民を育てる必要があり、その中心となる大学教育にかかる費用は国が負担するのが当然と言うわけです。1人当たりGDPで日本を追い抜いた韓国、台湾の大学授業料は日本の約半分であり、大学教育の受益者は国の考え方に近いと思われます。
日本の場合、大学教育の受益者は学生個人として(実際は増税に代えて)1976年から2005まで2年おきに授業料を引き上げて今に至っています。大学生がいる家計では53万円の増税があったのと同じであり、貧しい家計では学生が奨学金と言う名のローンで支払っていることになります。その結果アルバイトに明け暮れ授業には出れない、卒業時点で200万円以上のローンを抱えるなど学力低下と生活困窮の原因になっています。そんな学生が主力である日本の経済は活力や創造力を失くし長い間低迷を続けています。今後国立大学授業料を上げれば、この状態は更に酷くなり日本経済は回復不能の没落を招くことになります。
これが分かれば国立大学授業料は値上げではなく、無償化が必要なことが分かります。2023年の人口動態を見ると高校まで教育費を無償化した東京23区と大阪市が顕著な人口増加を見せており、教育費は日本の家庭の悩みの種であることが分かります。東京都は都立大学の、大阪府・市は大阪公立大学の無償化を計画しており、そうなれば教育で子供を悲しませたくない多くの人たちが東京都と大阪府を目指すことになります。政府がこのことに気付かなければ、日本の中に東京都と大阪府という別の国が誕生することになります。
慶大の伊藤塾長の国立大授業料値上げ発言に連動して、自民党の「教育・人材力強化調査会」は国立大学授業料の値上げを求める提言書を政府に提出しました。教育・人材力の強化を目指すのなら国立大学授業の値上げは逆の効果にしかならないことが分かっていないようです。国会議員には60人以上の慶大卒がいることから、伊藤塾長と連動しての動きと思われます。慶大は富裕層子弟の教育機関であり、給料の高い大企業に多くの学生を送り込んでいます。この割合を更に増やすためには、貧しい家庭の子弟が大学教育を受けられないようにすればよいことになり、国立大学授業を150万円に引き上げれば目的を達成します。そうなれば日本は慶大の天下です。
国立大学が個別に引き上げるのは難しいと考えた文部科学省は、有識者会議を設けて政府として国立大学全体の授業料引き上げを決定するつもりのようです。これには自民党の国立大学授業の引き上げを提言した国会議員の影響があり、その中心は慶大OBです。国立大学授業の値上げに反対する有権者は、選挙で慶大卒の候補者に投票しないことが必要です。
(国立大学授業料が上がれば私立大学授業料も上がりますから、この問題は学生全体の問題です。国立大学授業料が150万円になれば私立大学授業料は300万になります。伊藤塾長の本当の狙いはこちらです。国立大学授業料が無償化されれば、私立大学授業料は半額になります。尚、国立大学授業料無償化(教育無償化)の原資は、20%と税率が低いことが問題になっている金融所得に対する税率や法人、所得税の税率を合計1~2%上げれば賄えます。国立大学への年間交付金はわずか1兆円です。)