比例区は党代表者に得票数に応じた議決権を与えればよい
総選挙の投票日が迫ってきました。新聞報道によると裏金事件を受けて自民党が苦戦しており、単独過半数割れどころか自公合わせた過半数を割れもある状況のようです。今回自民党は裏金議員の多くを比例区重複立候補できないこととし、その分新人や女性を比例区の名簿に登載しています。この影響もあり、自民党東北ブロックでは元芸能人の森下千里さんが名簿2位となり、当選確実となったようです。彼女は3年前の総選挙で宮城5区から立候補し、地道な選挙運動の結果61,410票を獲得しました。ここは立憲民主党の幹部安住淳議員の地盤であったことから当選はなりませんでしたが、大健闘と言われました。宮城5区は区割り変更で4区に編入されたため森下さんの選挙区が無くなった結果、比例区に回ることになったようです。今回東北ブロック2位なったのは小泉進次郎国会対策委員長の判断と言われていますが、小泉委員長としては森下さんに東北ブロック小選挙区候補者の応援に回らせる意図があると言われています。縁もゆかりもない地で朝立ちして選挙運動をする姿をテレビで見ていましたので、当選確実になったことは良かったと思います(ただし自民党は大敗を望みます)。
このように突然当選できるようになる比例区制度は問題含みです。比例区選出の衆議院議員は有権者の記名投票で選任されていないことから小選挙区選出の衆議院議員と比べて格下と見られています。前回の総選挙で、小選挙区で落選し比例区で復活当選した甘利明自民党幹事長は、これを恥じて幹事長を辞任しました。これから分かることは、比例区議員は有権者の代表でなく党から議決権の行使を委託されているに過ぎない存在であることです。いうなれば議決権行使要員です。国会での議決権の行使は党の決定に従いますから、比例区選出議員は党の指示に従い議決権を行使することになります。ならば何も比例区議員を176人も選出しなくても、党の得票数の割合に応じて議決権を党の代表に付与すればよいことになります。例えば比例区投票数の30%の得票を得た党には176票×0.3=52票の議決権を与えます。これが党の基礎票となり、国会での議決の際党の代表者が行使します。こうすれば比例区選出議員は不要となり、国会議員の削減に繋がりますし、比例区選出議員が離党しても議席を失わないというおかしな問題も生じません。比例区廃止とともに検討する必要があります。