政府日銀はGDP2%上昇を政策目標に設定すべき
物価の上昇が国民生活を苦しめています。2022年度から始まった物価上昇は政府日銀が設定した年率2%を突破し、これに伴い主要企業の賃上げは2023年度3.6%、2024年度5.3%と物価上昇率を上回るものとなっています。しかし賃上げは物価上昇後半年から1年遅れであり、賃上げ後はまたそれをカバーするために物価が上がることから、国民の実感としては物価上昇に押しつぶされそうな感じです。
これを見て立憲民主党は物価上昇率0を公約に掲げています。物価上昇の一因が円安であることから、この公約の実現性はない(公約としては不適)ことになりますが、政府日銀が物価上昇率2%を政策目標に掲げることに対する国民の疑問は端的に表しています。政府日銀の物価上昇率2%の政策目標は米国FRBを参考にしていると思われますが、FRBは物価上昇率を2%以内に抑えることを目標としており、物価を2%以上上昇させることを目標としているわけではありません。物価上昇率2%は経済成長率(GDP伸び率)2%以上を前提とする目標です。米国はこれが分かっているから良いのですが、日本の場合はこれが分かっておらず、GDP伸び率2%より物価上昇率2%の方が重要な目標になっています。これが問題なのです。
これが分かれば、今後政府日銀の政策目標としてはGDP2%上昇を設定すべきと言うことになります。GDPが年率2%以上成長すれば所得も上がりますから、物価が上がるのは当然です。政府日銀としても最終目標はGDPの上昇であり、物価上昇はそのための手段と考えていると思われますが、物価上昇でGDPを押し上げることになり、常に物価上昇が先行します。GDPを上昇させるにはこれしかないと考えているのか知れませんが、そんなことはありません。確かに内需中心にGDPを上昇させようとすれば物価上昇でGDPを押し上げるしかありまんが、外需、即ち輸出を増やすことでGDPを押し上げようとすれば、必ずしても物価上昇を伴いません。輸出でGDPが増える→所得が増える→物価が上がる、という健全なサイクルとなります。
1人当たりGDPや所得で日本を抜いた韓国がこのパターンです。韓国のGDPに占める輸出の割合は約42%であり、ドイツ(約48%)に次ぎ世界2位です(日本は約18%)。この結果輸出代金が国内に還流し、好景気となっているのです。これはバブル前の日本の状況です。バブル前は日本も輸出が絶好調で、輸出代金が円に換えられ国内に溢れ、行き場を失って不動産や株式に向かいバブルを生んだのです。あれが開発資金や設備資金に向かっていれば、また輸出が増加し失われた30年はありませんでした。
GDP2%を目標に設定すれば、また外需を取り込む=輸出を振興することが必要となります。物価を上げてGDPを上げるより遥かに健全です。だから物価上昇2%ではなくGDP2%上昇と政府日銀の政策目標に掲げるべきです。