新聞は「社会の木鐸」から「胡散臭い情報源」へ
2024年6月度のABC部数は次の通りとなっています。
(ABC部数というのは一般社団法人日本ABC協会(第三者)により監査・認定された新聞の販売部数のこと。各社が勝手に発表した部数ではないということ。ただし新聞社が販売部数を大きくするため(広告収入に影響する)販売店に無理やり出荷した新聞紙=押し紙が相当含まれていると言われる。)
■2024年6月度ABC部数(カッコ内は前年同期からの減少部数)
朝日新聞:3,391,003(-295,413)(-8.0%)
毎日新聞:1,499,571(-185,983)(-11.0%)
読売新聞:5,856,320(-480,369)(-7.6%)
日経新聞:1,375,414(-192,767)(-12.2%)
産経新聞:849,791(-109,818)(-11.3%)
このデータのうち日経については、日経電子版の部数が+97,609となっており、合計すると2,346,952(-95,158)(-3.9%)となります。日経は紙の新聞から電子版への移行進めており、それがかなり上手く行っていることが伺えますが、それでも年間約10万部の減少となっています。電子版は紙の新聞と比べてコストが安いため、損益的にはプラスとなっていると思われます。
それ以外の各社については、販売部数の減少に応じて損益が悪化していると思われます。朝日新聞は2023年5月から購読料を朝夕刊セットで4,400円から4,900円(約11.1%)へ値上げしていますが、この効果を打ち消すような減収になっていると思われます。この際読売新聞は値上げしませんでしたが、朝日新聞とあまり変わらない減少割合であり、新聞販売の減少は購読料以外の要因(家計が苦しくなっている)も大きいことが伺えます。
5社のうち100万部を切り、年間減少割合が10%を超える産経新聞は3年以内、150万部を切った毎日新聞は5年以内に何らかの決断が迫られると思われます。
朝日新聞については5年以内に販売部数で日経に抜かれることが予想されます。またこの部数では築地本社は過大であり、収益を支えるためにも本社再開発に着手することが考えられます。
読売新聞はまだまだ安泰ですが、新聞事業は先細りであり、読売ランドや旧築地市場再開発などの不動産事業、プロ野球巨人軍などのスポーツ事業などの周辺ビジネスを強化してくると考えられます。
各社とも紙の新聞から電子版に移行したいところですが、日経以外上手く行っていないようです。これはタブレットやスマホで読む場合、紙の新聞とは読み方が違ってくる(じっくり読まずさっと目を通すだけ)ため、記事の書き方も変わってきます。そのため上記5紙に変わり新しい新聞社(情報提供会社)が勃興することも考えられます。
11月17日投開票で兵庫県知事選挙が行われましたが、ネットでは新聞・テレビが虚偽の情報を垂れ流し、斎藤元兵庫県知事を辞職に追い込んだと書かれています。これは何も少数のネット民が書いていることではなく、多数意見と言えるレベルです。今回の兵庫県知事選挙は全国的な関心になっており、新聞を中心としたオールドメディアとネットメディアの戦いと言われています。斎藤知事の再選により虚偽の報道を続けたと名指しされている新聞にはまとまった解約が出ますし、全社とも販売部数の減少が加速すると思われます。新聞は「社会の木鐸(ぼくたく)=道案内」から「胡散臭い情報源」になっています。