斎藤知事再選は現代ビジネス御田寺圭氏の見解が一番

兵庫県知事選挙で当選不可能と言われた斎藤元知事が当選した背景につき様々な解釈が飛びかっています。斎藤知事を辞任に追い込む報道を続けた新聞・テレビを中心としたオールドメディアがSNSなどのネットメディアに敗北したという論調が目立ちます。それを受けてテレビ番組の中でテレビの報道姿勢に問題があったし、改めなければいけないと発言する出演者も出てきていますが、大勢としては、SNSは虚偽の情報が多いこと、自分の考えに沿った情報のみ収集し異論が排除されることなどネット情報の弊害を強調して非を認めません。SNSに虚偽の情報が多いということについては、2つに分けて考える必要があます。1つは初めから嘘の情報を発信して受け手を騙そうとするものがあると言うことです。こういうものが一定割合あるのは事実です。電子メールを使っている人に多くのフィッシングメールが送られてくるのと同じだと思われます。フィッシングメールを絶滅できないのと同じように、これらの詐欺的SNSを根絶するのも不可能です。

もう1つは、1つのSNS情報の中に真実と真実でないもの(誤解や解釈の間違い)が混じっていることです。ある情報に接した個人がそれを正しく理解できた部分と間違って解釈した部分が混然一体となって発信されています。SNSの大部分はこれに分類され、新聞やテレビはこれを捉えて虚偽の内容が多いと非難しています。しかしこれは我々が正確な知識を学び取るプロセルを考えればやむを得ないことが分かります。そもそもSNSの受け手は、SNSにはこれらの特質があることを理解して接しています。今回の兵庫県知事選では、SNSを通じて我々が真実を知るプロセスが履行されました。当初は新聞テレビが斎藤知事にパワハラ・おねだりがあった、公益通報を適正に扱わなかった、その結果元県局長が自死したと一方的に報道した結果それらを読んだ県民はそれを信じ込み、斎藤知事辞職に加担しました。元局長は当初(今年3月)マスコミや県議会議員などに知事の疑惑を書き連ねた文書を送付しており、マスコミは公益通報の要件を満たす文書でなかった(匿名であること、内容が真実である証拠が添付されていない)ことから公益通報とは扱えず、そのうち当該文書が斎藤知事に渡たり発信者(当時県局長)が特定され処分を受けたため、局長は翌4月県の公益窓口に再提出しています。再提出においても疑惑の証拠が添付されておらず、かつそれまでの経緯を考えると県として公益通報として扱わないとしたのは当然と言えます(争点の1つ)。パワハラについても当該局長が受けたというものではなく「聞いた」となっており、受けた人は誰も名乗り出ませんでしたし、おねだりについても儀礼の範囲内(どこでも行われていること)とも考えられ、少なくも贈収賄に繋がるものではありませんでした。SNSでこういう考え方が発信され、これを読んだ人が「それもそうだな」と考えて更に多くのSNSを読んでいった結果、斎藤知事が辞職するまでのことではないと判断しました。それ以上に斎藤応援団が増えたのは、同じくSNS上に斎藤知事の実績が上げられてからだと思われます。例えば10月中旬のヤフコメにこんなコメントが掲載されました。

「やはり斎藤さんには実績がある。 また、一連の対応を見ても鋼のメンタルなのは間違いない。 だからこそ抵抗勢力と戦える。

・1000億超えの県庁舎建て替えストップ

・知事の報酬カット(給与30%、退職金50%減額)

・高級車「センチュリー」を廃止

・職員OBの天下りを規制

・県の貯金33億円を127億円までアップ

・県立大学無償化

・私立高校の実質無償化

引き続き改革を推進してもらいたい」

簡潔明瞭に斎藤知事の実績を書いており、疑惑を論ずるまたは否定する長いコメントより遥かに説得力があります。私はこのコメントを見て斎藤氏は兵庫県知事を続けるべき(再選される)と思いました。このコメントをどれだけの人が見たか分かりませんが、この後斎藤氏再選支持の声が広がっていきました。この頃から疑惑や公益通報の扱いはさておき、兵庫県民は20年も続いた井戸県政の弊害を認識しており、井戸前知事派が多数を占める県庁や県議会を相手として斎藤氏がこれだけの改革をおこなったことを評価し、斎藤氏は兵庫県にとって必要という判断に至ったように思われます。

斎藤氏勝利についての解説には、SNSで虚偽の情報が流布された結果、有権者の多くが斎藤氏の疑惑が無かったと考えて斎藤氏に投票したと主張する内容が多いですが、そうではありません。斎藤氏に投票した有権者の多くは、斎藤氏の疑惑は疑惑として残るが今の兵庫県には改革を進められる人=斎藤氏が必要と判断したのです。

このように考えている中で唯一腹に落ちる解説を見つけました。それは現代ビジネスに掲載された御田寺圭氏の記事です。ぜひ一読してみて下さい。

11月22日発信 現代ビジネス

齋藤元彦再選「SNSで若者がデマに騙された」は本当か? 新聞・ワイドショーが報じない「井戸県政の宿痾」という大問題(現代ビジネス) – Yahoo!ニュース

 

齋藤元彦再選で「有権者は愚か者ばかり」と言いたがる「知識人」が続出する理由…彼らが溺れる、もう一つの「ネットde真実」(御田寺 圭) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)