新聞が信頼されるためにすべき5つのこと
斉藤兵庫知事の失職と再選を巡ってテレビと新聞の報道姿勢が激しく批判されています。1991年に証券会社が得意先企業に損失補填していたことが明かになり、証券会社の信用が失墜したことがありましたが、それに似た状況と言えます。今回の問題で偏向報道を続けた、過ちに気付きながらも改めなかったと名指しされた新聞社は大量の解約に見舞われたと思われますし、その他の新聞も今後販売部数減少に拍車がかかること必至です。こんなに信用できない新聞を月5,000円近く出して購読する人なんていません。
昔は社会の木鐸と言われ絶大な信用を誇った新聞がここまで落ちぶれた理由は、新聞社が自ら作り上げた利権や取材の構造にあります。新聞が信頼を取り戻すためには、次の5つのことを行う必要があります。
1.消費税の2%軽減税率適用を返上する
2019年10月から消費税が8%から10%に引き上げるに際して食品などが8%に据え置かれる(軽減税率)こととなった際、新聞社は新聞の定期購読を軽減税率の対象にねじ込みました。生活必需品である食品を据え置くことには合理性がありましたが、新聞は生活必需品ではなく購読率もどんどん下がっていましたから新聞社と自民党の癒着により実現したことは明らかでした。これを自民党が認めたのは、これにより新聞は自民党に不利益な報道はできなくなると考えたからでした(軽減税率の対象は自民党の税制調査会で決まる)。この2%の軽減税率は実質自民党から新聞社への広報委託費(約260億円)であることは明らかです。これは新聞社の経営には効果がありますが、新聞に国民が期待する政府・政権党の監視役という役割が果たせなくなり、新聞没落の基盤となっています。従って新聞が国民の信頼を取り戻すため最初にやるべきことは消費税の軽減税率適用を返上することです。
2.記者クラブ制度を廃止する
次に国民が新聞の報道に不信をもつ原因となっているのは記者クラブ制度です。これにより情報の受け手を制限し、出し手の意に沿わない報道が行われないようになっています。記者クラブの会員を制限することで、情報の出し手と受け手が親密な関係になることになり、阿吽の呼吸で情報がコントロールされることになります。記者クラブは官公庁に設定されることが多いですが、ここにおける新聞の実体は官公庁の広報機関であり、新聞を使い官公庁は国民や住民を自在にコントロールしています。このことは官公庁の弱みであり、新聞はこの弱みに付け込み官僚・公務員からリーク情報を引き出しています。
3.オフレコを廃止する
政治家の問題発言が報道され、政治家が「あれはオフレコだった」と怒ることがありますが、これは新聞が情報発信者の都合のよいことを報道し、都合の悪いことは報道していないことの証拠です。この制度がある限り新聞報道は信頼できないことになります。従って新聞協会としてオフレコ制度の廃止を宣言し、各新聞社は社内規則として制定すべきです。
4・警察検察からのリーク報道の禁止
新聞で一番みっともないのは、警察官検察官からリーク情報を得てあたかもスクープのように報道することです。これは公務員の守秘義務違反であることが明白であり、警察官検察官と司法記者は違法行為の共犯となります。警察官検察官が捜査中の情報をリークするのは、起訴を確実にし裁判で有罪を勝ち取るためであり、これをそのまま報道するのは司法の公正性を歪めます。本来リークされた記者は内容が真実がどうか検証しなければいけないのですが、新聞社の規則ではリーク元が警察官検察官であれば検証不要な取扱になっているようです。そのため新聞は何度も冤罪に手を貸すことになっています。これは司法記者が書けるようなネタがなく、書かないと記者を続けられないため、已むに已まれず手を染めていると考えられます。これには人の人生を台無しにする可能性があり、許されることではありません。速やかに禁止すべきです。
5.似非有識者による検証偽装の見直し
新聞記者は記事の信憑性を担保するために、よく記事に学者を中心とした有識者を登場させて記事に沿った発言を引き出していますが、この有識者が怪しいものです。記事に有識者が登場したら信憑性の裏付けがとれないためと考えた方がよいです。理工系の記事については自然科学の法則が支配していることが多いため検証が可能ですが、社会問題については事実の検証が難しいのは事実です。有識者を登場させる場合の多くは記者の主張を補完するためであり、これが見え見えで記事が読者に信頼されない原因となっています。これを防ぐためには明らかな事実だけで構成される記事を書き、記者の価値判断による記事は書かないことです。記者の価値判断による記事はブログやSNSで発信すべきです。
新聞が国民の信頼を回復するには以上5つのことが必要ですが、廃業へのカウントダウンが始まった新聞にできるでしょうか。