三菱自動車は韓国ヒョンデグループに入った方が良い

2024年12月23日、ホンダと日産が統合交渉入りを発表しました。その記者会見の席には三菱自動車の加藤社長も同席したようですが、三菱自動車の最終意思決定は1月末までに行うとのことです。これはホンダと日産の統合交渉入りの発表が早まったため三菱自動車の社内手続き(取締役会承認や大株主への説明)が間に合わなかったためか、三菱自動車が乗り気でないためかはっきりしません。しかし三菱自動車は昨年11月に日産が保有する自社株式の約5%を買い戻しており、日産が保有する三菱自動車株式の割合は34%強から29%程度に低下し、三菱自動車は日産の意向に関係なく自社の戦略を決められます(重要事項の株主総会承認には3分の2以上の賛成が必要なため、これまでは日産の意向に反することはできなかった)。三菱自動車の日産に次ぐ大株主は三菱商事で20%を保有しています。三菱商事は東南アジアで三菱自動車の販売網を構築しており、三菱自動車の販売部門の役割を果たしています。日産が三菱自動車に34%出資したのは、当時の日産会長ゴーン氏が三菱商事の販売力に魅力を感じたからと言われています。三菱自動車の再建がなったのは三菱商事の存在が大きく、今回三菱自動車がホンダと日産の統合に加わるかどうかは、三菱商事の意向が左右すると考えられます。

私は参加しないという決定もあると思います。それはホンダと日産が統合しても、その後縮小均衡の道しか見えないからです。要するに経営統合後日産、ホンダともリストラが続くと予想されるからです。ホンダと日産の2023年合計販売台数は735万台で世界3位ということですが、統合後これが減り続けることになります。販売台数減少の中心は米国で売れ筋であるHVやPHVを持っておらず、中国でも売り筋であるBEVを持っていない日産ですが、ホンダも販売台数が2016年度の約503万台から2023年度約410万台まで減少しています。ホンダも米国と並ぶ市場の1つである中国で地場メーカーのBEVに押され大きく販売台数を落としており、挽回の見通しが立ちません。このようにホンダと日産の主力市場は重なっており、リストラには好都合ですが、増販には不都合です。従って統合しても長い間リストラを続けることになります。三菱自動車は現在リストラが終わり攻めの経営に転じた状況であり、統合によってこの良い流れが止まることは避けたいところです。そうなるとこの統合に参加しないという決定は十分あり得ます。しかし来るべき電気自動車の時代に備えるには、バッテリーなどの共同調達のため大きなグループに参加することは不可避です。では三菱自動車はどうしたらよいかというと、韓国現代自動車(ヒョンデ)の傘下に入ることが良いと考えられます。ヒョンデグループはヒョンデと起亜自動車の2つのメーカーからなり、2023年度販売台数が約730万台で世界3位の自動車メーカーとなっています。欧州での販売台数でトヨタを抜き、インド、ベトナムなど多くの新興市場でトヨタより上位にあります。一度撤退した日本市場にも2022年5月電気自動車で再参入しました。ヒョンデは日本で販売チャネルが少ないという問題を抱えており、三菱自動車は販売チャネルはあるが流せる車種が少ないという問題を抱えています。ヒョンデは世界中で売れている豊富な車種も持っており、三菱自動車のチャネルに流せば相当の販売が期待できます。また電気自動車については三菱自動車も経験豊富であり、ヒョンデにとっても心強いパートナーとなり得ます。ヒョンデは今世界で一番勢いがある自動車メーカーであり、三菱自動車が飛躍するに当たって最高のパートナーと考えられます。こう考えると三菱自動車が日産とホンダの経営統合に加わらず、ヒョンデグループ入りを決めることは十分合理性があります。