NHKは赤字と見せて現金を貯めこんでいる

NHKの2025年度予算が確定したという報道です。収入から支出を差し引いた事業収支差金(民間企業で言うところの営業利益)は400億円の赤字になる計画とのことです。赤字幅は今年度(2024年度)予算の赤字570億円から170億円少なくなっています。

2023年度決算が半年分の受信料値下げを反映して136億円の赤字ですから、2024年度(今年度)予算は270億円程度の赤字が妥当であり、570億円は膨らませ過ぎと言えます。実際9月中間決算では約480万円の黒字となっており、予算が如何にいい加減か分かります。

受信料値下げを踏まえた構造改革を急ぎ27年度の収支均衡を目指すとしていますが、実際は今期収支均衡するような進捗状況です。NHK予算や決算を審議する国会の委員会が全く機能していないことが分かります。

このようにNHK予算は全く参考にならないのですが、NHK決算を見るうえで注目すべき項目があります。それは現金収支です。商売をしている人なら分かりますが、損益は黒字でも仕入れ代金や経費が払えなくて倒産する場合があります(黒字倒産)。それは売掛金の回収より支払いが早く来るような条件で商売をしている場合です。一方損益は赤字でも現金はたっぷりある場合があります。例えば、販売は現金なのに仕入れ代金の支払いは3カ月後の条件で商売している場合です。この場合3カ月間現金が手元に貯まることになりますので、運用で稼げます。NHKも赤字でも現金が貯まる仕組みになっています。

2023年度の決算を見ると、減価償却費(建物・放送機器などを一括払いで購入した費用を年次決算の関係上耐用年数に応じて期間割で費用に計上する)というお金が出ていかない費用が781億円あり、事業支出6,668億円のうちお金が出ていった費用はこれを除いた5,887(6,668-781)億円となります。これを事業収入6,531億円から引く(6,531-5,887)と644億円の黒字となります。これは現金の増減でみれば644億円現金が増えていることを意味します。ようするに事業収支差金ではなく現金収支差金でみれば644億円の黒字ということです。NHKはこの余った現金を現預金や有価証券で貯め込んでおり、現金・有価証券は前期より78億円増え5,465億円となっています。その他に長期保有有価証券が62億円増え1,016億円ありますから、現金・有価証券が合計6,481億円(連結では7,335億円。関連会社に854億円隠している)あります。これは小さな金融機関並みの資金量です。それ以外にも最新の放送機器の購入や地方放送局の建替えに使用し、減価償却費が増える(損益が悪くなる)ようにしています。NHKは渋谷の放送センター他全国の県庁所在地の一等地に放送局を持っていますので、その土地の含み益が数千億円ありますから、NHKの純資産は1兆円を超えると予想されます。これは放送事業を止めても職員に10年間給料を支払える額です。来季の予算も400億円の赤字と民間企業なら大リストラが必要な額ですが、現金収支で見れば600億円を超えるプラスとなり、NHKは益々豊かになるというのが実態です。

こんなNHK制度を守っているのが自民党であり、NHK受信料に反対な人は選挙で自民党に投票しないことです。