フジテレビは6カ月の放送休止が良い

フジテレビが大変革を求められそうです。ネット上では倒産という言葉も見られますが、それはあり得ません。フジテレビはフジメディアホールディング(FMH)傘下の一事業会社であり、FMHは不動産事業(サンケイビル、グランビスタホテル)で強固な収益基盤(年間営業利益約200億円)を有しており、フジテレビを支えることが可能です。そのため現在ACジャパンに置き換わっているテレビ広告については、契約上広告主負担のところをフジテレビは広告主に請求しない方針と報道されています。今回の場合フジテレビに責任がある広告停止であり、信義則上当然と言えます。もしフジテレビが契約(想定されていなかった)を振りかざして支払いを求めれば、4月以降の広告契約がなくなりダメージが大きくなります。従って請求しないのではなく請求できないということです。

通常なら1~3月の広告費は約360億円と想定され、その半分がACジャパンに切り替えられたとすれば、約180億円の損失となりますが、昨年4~12月期で約80億円の利益があったと考えられるので、今期損失は約100億円程度になると想定されます。FMHでは不動産事業で約200億円の黒字が予想されますので、FMHの決算としては100億円程度の黒字ですが、フジテレビの来季大幅赤字を見越して引当金を計上し、赤字決算とするかも知れません。

フジテレビの来季業績については見通し不能です。スポンサー企業は2月中に来季予算を概ね確定することから、フジテレビへの公告費が計上されることはないと思われます。そうなるとフジテレビでは来季広告収入が見込めないことになります。フジテレビの社員は約1,200名となっていますので、1人当たりの年間人件費(関連費用込み)を約2,000万円とすると、会社全体では年間約240億円の人件費がかかることになります。今並みの放送を維持すると少なくとも年間1,000億円(人件費込み)の費用はかかるので、来季の業績は広告収入の回復次第ということになります。あるスポーツ紙には広告代理店関係者の話として、フジテレビの来季の広告収入は500億円程度減りそうとなっていましたから、そうなると500億円程度の赤字も考えられます。来季前半の広告収入は壊滅的か、ACジャパンへの差し替えが多くなると予想されるので、一層のこと来季前半は放送を休止し、新体制の構築と顧客説明、来年10月以降の番組制作に充てた方が良いようにも思えます。尚来季500億円の赤字でも倒産することはないですが、今後元の収入に回復することは不可能であり(せいぜい7~8割)、2,3割の人員整理は不可避です。フジテレビの名前ではイメージが悪いとして身売りも考えられます。FMHの株価が上がっているのは、お荷物(将来性がない)フジテレビの売却を期待してのものです。

総務省も監督機関として何らかの処分をせざるを得なくなっていますが、多分FMHのドンと言われる日枝取締役相談役(87歳)を中心とした役員の退任に留まり、放送停止処分(停波)や放送免許取り消し処分は出来ないと思われます。FMHはこういうときのために国会議員や官僚の子弟を多数入社させ、官僚の天下りを受け入れています(現在もFMHの社外取締役に元総務官僚が就任している)。フジテレビの反省を示す意味でも放送休止(自主停波)が効果的です。