三井住友銀行が三菱UFJ銀行を抜いた!

3大メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)の2024年4〜12月期決算が出て揃いました。合計の連結純利益が3兆8,263億円で、2005年度に3メガバンク体制となってから最高となっています。通期の純利益予想に対する進捗率は既に100%前後に達しており、通期でも大幅な計画超過は確実です。

業績改善の中身を見ると、各グループで特徴が見られます。三菱UFJの連結純利益は出資先や買収先の利益の貢献が大きくなっています。このうち25%超出資するモルガン・スタンレーの貢献は3,693億円で連結純利益の20%超を占めます。これは計算上の利益であり、三菱UFJにこれだけの資金が入ってきたわけではないことに留意する必要があります。三菱UFJの場合、経常利益に占める国内取引の割合は5割(49.7%)を切っており、日本拠点の国際銀行の様相を呈しています。

みずほは米国事業が好調だったみずほ証券の業務純益が4割増えたことが大きく貢献しています。

三井住友は、三菱UFJやみずほのようなこれと言った特徴は見られず、銀行の旧来業務である貸付金から得られる利益のほか、資金の決済、資産運用といった幅広い取引を通じて稼ぐモデルを構築していることが伺えます。

グループとしてのメガバンクの資産規模を見ると三菱UFJ413兆円、三井住友310兆円、みずほ285兆円であり、首位の三菱UFJが2位の三井住友より103兆円上回っていますが、銀行本体の業務純利益(一般企業の営業利益に相当)で見れば、三菱UFJの9,519億円に対して三井住友は9,573億円と上回っています(みずほは5,985億円)。この原因をみると、三菱UFJが資金取引の粗利益を前年同期比810億円しか増やしていないのに対し、三井住友は3,590億円増やしたことにあります。一次的なのか構造的なものか分かりませんが、総資産からは考えられない結果です。ただし行員のレベルを考えれば、こういう結果になってもおなしくないと思われます。

24年4〜12月期は政策株式の売却益などで得られる株式関係の損益(業務純益の下の段で臨時損益として計上)が3メガバンク合算で約1.1兆円(三菱UFJ約4,708億円、三井住友約4,312億円、みずほ約2,404億円となっており、これが決算を良く見せています。来季は2025年1月の日銀の金利引き上げにより収益が3メガバンク全体で約6,000億円増加すると予想されていますが、政策株の売却益次第で純利益は減少することも考えられます。

この純利益を見ると凄いと感じますが、米国のトップ銀行であるJPモルガン・チェースの2024年12月期の純利益は約9.1兆円であり、日本のメガバンク3行の純利益を合算しても遠く及びません。