気象庁がオオカミ少年になった

先週今冬最強と言われる寒気が居座り、日本海側を中心に大雪を降らせました。2月8日の報道では、新潟市で約50㎝、広島県庄原市で約44㎝の積雪というのが目を引きました。その他京都市や名古屋市でも積雪しており、寒気が山の隙間を通って流入したようです。山口県山陽小野田市の国道2号では雪で約8時間車が立ち往生しました。

今回の寒気襲来については、2月3日気象庁が記者会見し今期最強の寒波が襲来し長く居座るとして注意を呼び掛けました。確かに帯広では1日で約120㎝積もるなど予報通りの結果になっています。しかし2月3日の気象庁の記者会見を報じるヤフー記事のコメントには、批判的なコメントが溢れていました。曰く「最近の気象庁は50年に一度とか、記録的なとか仰々しい表現が多い割には外ればかり」「これでは誰も信じなくなる」「ふつう外れたら外れた原因を分析し報告するものだが、気象庁は何もなし」「これではプロの気象予報集団とは言えない」「気象庁はオオカミ少年化している」などです。

確かにその通りで、昨年は「50年ぶりの」「災害級の」と表現された大雨予報が何回かありましたが、全て外れでした。一方被害が大きかった能登の集中豪雨では何の警報も出ていませんでした。

気象庁が前記のような表現を使うようになったのは、2020年7月の球磨川豪雨あたりからではないかと思われます。この球磨川豪雨では25人が犠牲になっていますが、もっと早く避難しておけば防げた犠牲もあったという反省があるものと思われます。しかし最近の豪雨は急に雨雲が発達することが多く、事前の予測は難しくなっています。それなのに早めに警報を発しようとするため外れることが多くなっていると思われます。気象庁の警報に基づき最近は鉄道やバスが計画運休するようになり、外れれば経済的損失が大きくなっています。2024年8月8日、宮崎県の日向灘を震源とする大地震があり、気象庁は南海トラフ地震の想定震源域で大規模な地震が発生する可能性がふだんと比べ高まっているとして「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しましましたが、これにより多くの旅行予約が取り消され、旅館や交通機関が大きな損失を被りました。地震の予測は科学的に不可能と言われており、世界中どこでもこんな警報は出していない中で、このような外れる可能性が高い警報を出すことの妥当性が疑われます。「50年ぶりの」「災害級の」と形容される警報で翌日のイベントが中止になることが多く、大きな経済的損害が出ています。結果的にはこういう警報は出さなかった方が良かったということになっており、企業なら来季以降こういう警報は出さないという方針に変更します。気象庁もこれまでの警報と結果を検証し、使い方を見直す必要があるように思われます。そうでないと気象庁がオオカミ少年化し、肝心のとき誰も信じなくなります。