冬のエアコンが暖かくならないのは「霜取り運転」のせい

2月の第2週を中心に寒波が到来しました。私が住んでいる福岡市はめったに氷点下になる日はないのですが、2日間(8,9日)氷点下(-0.3°,-0.8°)の日がありました。そのため室内が寒くエアコンの温度を普段より高く(21°)設定しました。すると最初は23°くらいまで上がるのですが、その後運転を停止し16°くらいまで下がります。そしてなかなか上がらなくなりました。それまで18°に設定していましたが、この場合最初20度くらいまで上がり、その後下がり17°を下回ると再度19°まで上昇する(設定温度の±1)サイクルを繰り返していました。この例からすると21°に設定すれば23°まで上昇し、それから20°くらいまで下がり再度22°まで上昇するサイクルを繰り返すはずでした。しかし16°くらいまで下がり上昇することがありません。温度調節用のセンサーが故障したのかなと思い、近くの電気店に電話しました。すると留守番と思われるおばあちゃんが出て、「あ、それは外が寒いから」「霜取り運転のせい」と言います。「え、外が寒いからエアコン使っているのに外が寒いからエアコンの温度が上がらないなんて、意味が分からない」と思いました。また「霜取り運転しているから」というのも意味不明です。外が寒いと言っても3,4°はあり、霜は降りていません。だから霜取りなんてありえません。「おばあちゃんだから分からないのかな」と思い、「ちょっと様子を見てみます」と言って電話を切りました。

それでも言われたことが気になったのでネットで調べてみました。そこで分かったことは、おばあちゃんの言っていた通りでした。エアコンで部屋が暖まる仕組みは、フロンや二酸化炭素、アンモニアなどのガス(冷媒)が入った金属パイプが室内機と室外機をつないでおり、その金属パイプを通る冷媒を室外機にあるコンプレッサーで高圧にすればガスが液体に変化し高温になります(冷媒はガスの状態では冷たく、液体になれば熱くなる)。高温になった金属パイプが室内機にある多数のアルミ板(フィン)に触れ熱を室内に伝導しファンで拡散させて室内の温度を上げます。高温のパイプはその後冷え徐々にガスに戻りますが、室外機の近くになっても外気より高いので、今度は減圧機で圧力を下げます。すると完全に気体となり温度が急激に下がり0°以下になることがあります。0°以下になると金属パイプと接する室外機のフィンに外気中の水蒸気が付き(結露。0°の空気中では含むことができる水蒸気の量が減少する)氷結します。これは霜が付いた状態であり、このまま運転を続ければ機器が故障する、外気の熱を取り込めなくなる(冷媒の温度が-1°だと外気の温度が3,4°でも冷媒の温度より高いことから、冷媒に外気の熱が移動する、即ち外気の熱を冷媒に取り込みエアコンに利用する。ヒートポンプと言われるエコシステム)などの不具合が生じます。そのためエアコンでは金属パイプを流れる冷媒(この場合高温)の熱を室内を温めるために使わず(スルーして)室外機に戻し、室外機に付いた霜(氷結)を溶かすのに使います(霜取り運転)。このため冷媒の高温が室内の暖房に使われる時間が減り、室内が温かくならないという現象になるということです。霜取り運転という言葉を覚えておけば寒い日エアコンが暖まらないことにイライラすることが少なくなります(このため寒い地方では冬エアコンは使われず石油やガスストーブが中心になるようです)。