社外取締役が多いと無責任体制になる

最近不祥事で話題になる会社ではなぜか社外取締役の人数が多くなっています。例えばフジテレビの親会社であるフジメディアホールディングでは全取締役17名のうち7名(約41%)が社外取締役です。経営が問題になっている日産では全取締役12名のうち8名が社外取締役、それも独立社外取締役と言われる日産と利害関係がない人となっています。損害保険の不祥事で有名になった損保ジャパンの親会社損保ホールディングでは、15名の取締役のうち12名が社外取締役(独立社外取締役)となっています。独立社外取締役については会社がそのように言っているだけで、取締役に就任している時点で会社の幹部と人的関係があることは明らかであり、有効性・意義に疑義がありますが、社外取締役は社員から昇格した取締役(社員取締役)ではないという意味ではその通りです。

社外取締役の数が増加してきたのは、社員取締役は社長の息がかかっており、社長が決めたことに反対できないことから、取締役に求められる経営チェック機能が果たせないためです。確かにその視点は分かりますが、社外取締役の数を増やせばよいというものではないことは、上記3社を見れば明らかです。いずれも高齢者が多く社業に関しては詳しくない人が多くなっています。かつ会社に来るのは取締役会がある日のみであり、月に1日、場合によっては3カ月に1日です。またビジネスの判断力は日々業務を行うことで維持されることから、現役を退いた人(退役者)は不適ですが、社外取締役の多くは退役者で占められています。これで有効に機能するはずがなく、意思決定のレベルは社員取締役によるものより遥かに落ちることは明白です。たしかに違法行為や社会的不正を防ぐ効果はあると思われますが、それは監査役や監査委員となる社外取締役に弁護士や会計士を入れれば十分です。

最近上場企業では社外取締役の増員を求められ、女子アナやスポーツ選手などを社外取締役に選任するケースが増えています。これは社外取締役にふさわしい人材がいないことと社外取締役は議案に賛成してくれればそれでよいという経営者の認識を反映したものです。これらの社外取締役の存在は、会社にとって社員取締役より弊害が多く、会社を危うくします。このように社外取締役制度の弊害が大きくなっており、現実的観点(会社を強くすにはどうしたらよいか)からの社外取締役制度(取締役会制度)の見直しが必要になっていると思われます。上場企業に社外取締役の増員が求められるのであれば、上場しないこと、または上場を廃止することを選択する企業が増えると思われます。