エセンシャルワーカーの所得税は0%に

エセンシャルワーカーの不足が深刻になっています。エセンシャルワーカーとは日常生活の遂行に欠かせない職業に従事する人のことですから、時代や地域によって職種が違うことになります。マクロで言えば介護職員の不足が著しいようですが、介護と無縁なところにいる若者や介護者がいない人たちには実感がありません。結局エッセンシャルワーカーの不足を痛感しているのは、彼らの職場だと思われます。

私が最近これを感じているのはバスの減便からです。2月28日福岡の西鉄は春の一般路線バスのダイヤ改正を発表しましたが、33路線で減便し、1路線を廃止するとなっています。平日は県内で2.6パーセント、413便を減るということです。理由は慢性的な運転手不足のためとしていまます。私が住む福岡市内でもなかなかバスが来ない状況になりそうです。田舎の方では乗客も減っていることから、朝夕1便というところも珍しくなくなると思われます。

バスの運転手は神経も使うし大変なことからなり手がないことは理解できます。同じ運転手でもまだ長距離トラックの運転手の方が魅力があるように思われます。京都市はバスが混むので有名ですが、運行を担う市営バスでは運転手の年収を1,000万円超にして確保しているようです。結局エッセンシャルワーカーを確保するには年収を高くするしかないことが分かります。それでもこれは税収がある市だからできることであり、運賃収入で給料を支払うしかない民間バス会社ではできません。そこで考えられるのは、エッセンシャル度(必要度)に応じて所得税率を決めることです。例えばバス運転手の所得税率は所得500万円未満の場合所得税率0%、それ以上でも低税率とします。これで民間バス会社でも求人が少し楽になります。介護職員でも同様で、求人に対する充足状況に応じて所得税率を低く設定します。さらにエッセンシャル職業全般にエッセンシャル度に応じた所得税率を設定します。これだと税収が足りなくなりますので、その分を求人に対して応募者が多い職業の税率を上げます。例えば銀行・生保・損保などは社会インフラとして国が保護していますが、給料が高いとして学生に大人気です。これらの職業では所得税を上げても採用には全く影響ありません。エセンシャルワーカーの年収を引き上げられないなら、税率による対応が不可欠です。