法曹は白を黒、黒を白と言い包めるのが仕事
兵庫県の第三者委員会報告書に関するヤフー記事のコメントを見ると、また反斎藤知事派(反斎藤派)とみられる人たちのコメントで溢れています。兵庫県議会が斎藤知事不信任案を可決した前後の状況です。ただし激しく斎藤知事の人格を攻撃するようなコメントは少なく、委員会は斎藤知事が悪いと判断したのだから斎藤知事は辞職すべきと言う内容が多いように思われます。
一方斎藤知事支持派のコメントは少なくなっています。この理由は、反論できないというよりは、もう選挙で斎藤知事が再選され民意は示されているのだからどうでもよいという感じです。それはこの報告によって県議会が再び不信任決議をすることは無いという確信があることと、報告書には選挙期間中にSNSなどで知られた内容以上のものはないことを知っているからです。反斎藤派のヤフコメを負け犬の遠吠えと冷ややかに見ている状態だと思われます。
反斎藤派のヤフコメで気になるのは、報告書の内容を自分で検証せずに反斎藤知事に繋がる結論部分を摘まみ食いしている点です。例えばパワハラが10個も認定されたとか、元西播磨県民局長(県民局長)に対する処分が無効にされたという点です。しかしこの結論は報告書の内容を読めばおかしいことに気付きます。パワハラについて言えば、みんな仕事上の1回きりの叱責であり、誰もが仕事上また日常生活上頻繁に経験していることです。これが同僚の間であれば口論になったり小競り合いになったり気まずい雰囲気になります。斎藤知事のケースではこれらが上司の立場でなされているからパワハラと認定されているように思われます。同じようなケースが何回もあった、あるいは特定の担当者に継続的に行われたというのならパワハラですが、斎藤知事の場合単発的かつ瞬間的に行われていますので、パワハラにはならないように思われます。もし委員会の認定に同意する人がいたら、自分のケースを考えてみたらよいと思います。ゾッとするくらいパワハラをしていることになるし、職場はパワハラだらけになっています。40km制限の道路を43kmで走っていてもスピード違反で検挙されることはないように、また50kmで走っていても検挙されないケースもあるように、ルールは社会生活を維持するためのものですから柔軟に適用されます。上司による行き過ぎた叱責があったとしてもパワハラとしてルール違反に問うケースはそう多くないと思われます。報告書は余りにも緩い基準で斎藤知事のパワハラを認定しており、どこの世界のルールだろうと考えさせられます。従ってこの判断は兵庫県民多数の支持は得られないと思われます。
次の県民局長に対する懲戒処分を無効であるとしている点ですが、これは4つの懲戒処分理由のうちの1つ「誹謗中傷文書の作成・配布行為」は理由とした処分についてです。他の3つの理由(人事データ専用端末の不正利用、職務遷延義務違反、次長級職員へのハラスメント行為)に基づく懲戒処分は有効、即ち懲戒処分全体としては有効であると言うことです。この点を理解せず、不当な処分を行ったと理解している反斎藤派が多いように思われます(そう書いているマスコミも多い)。
「誹謗中傷文書の作成・配布行為」に基づく懲戒処分の可否について県と委員会で判断が違った理由は、県民局長がマスコミなどに配布した文書が公益通報に該当するか否かの判断の違いにあります。県側(弁護士確認済み)は、マスコミなど外部に行う公益通報(3号通報)には通報内容に真実相当性が必要であり、それがなかった(匿名の通報、証拠が添付されてない)から公益通報とはならず、文書配布者特定後同じ文書を県の公益通報窓口に提出しても公益通報にはならないと判断しました。これに対して委員会は、県民局長には自己の利益を得ることや他人の信用を棄損しようとする不正な目的はなく、公益を図るという目的だったと判断されるから、マスコミなどに配布された文書は公益通報と言え、県庁の窓口にその文書が提出されている(4月4日。作成は3月12日で配布はその数日後)ので、公益通報と言えるとしています。しかし報告書は配布文書に述べられた7つの不正のうち6つは認められないとしており(残り1つはパワハラ)、全体的内容として公益通報と言えないものであることを認めています。しかし委員会は一部にでも調査を要する内容が含まれておれば公益通報と扱うべきとしています。これだと不正の疑いを多数書き連ねた怪文書でも公益通報と扱うべきことになって処理すべき公益通報が膨大になることが予想されます。やはり公益通報として扱うには通報者側に相当の真実相当性の証拠提示義務を負わせることが妥当です。マスコミにとって公共団体のスキャンダルはニュースバリューがあり、たいていの場合飛び付きますが、県民局長の配布文書については報道していないことから、公怪文書と判断たと思われます。従って県側が公益通報ではないと判断したのは常識的判断と言えます。
こう考えると報告書は納得いくものでないし、申し訳ありませんが6人の委員の常識・理解力を疑いたくなる内容です。法曹の言うことが充てにならないことは、テレビの弁護士コメンテーターを見れば明らかであり、法曹で構成された第三者委員会の報告書だからと言って結論だけに飛び付くと大恥をかくことになります。