石破首相の商品券問題を一番喜んでいるのは検察
3月3日に石破首相が総理大臣公邸で行った自民党の当選1回の衆議院議員15人との会食に先立って、出席議員の事務所に1人10万円分の商品券を届けていたことが明かになりました。石破首相は、商品券は会食の土産代わりで、議員の家族をねぎらう意図であり「私自身の私費、ポケットマネーで用意した。政治活動に関する寄付ではなく、政治資金規正法上の問題はない。私の選挙区に住んでいる人はいないので公職選挙法にも抵触せず、法的には問題がないと認識している」と述べています。
これについては専門家の1人は「政治資金規正法では政治家の政治活動に対して、個人が現金やその他の金銭などによる寄付をすることは禁止されている。政治活動でない活動としてはたとえば土産物のような社会通念上一般的な、社交的なつきあいとしてのやり取りであれば多くのところで認められている。10万円分の商品券がそれに該当するかどうかがひとつの焦点となる」「さまざまな法的解釈があるが、1年生議員と首相の面会を社交的なつきあいでのやり取りだとするのは社会通念上の儀礼の範囲かというと疑問があり、範囲を超えて違法な可能性もあると思う」と指摘しています。
貰った議員は翌日またはこれが報道されてから返しており、やましいお金と言う認識があるようです。多くの人が指摘しているように社会通念上の遣り取りならせいぜい1万円程度の商品券であり、10万円は相手が政治家であることから政治資金の提供(寄付)と考えるのが妥当です。それにも関わらず野党は「政治資金規正法違反の可能性がある」と述べ、政治倫理審査会での弁明で終わらせようとしています。これには、石破首相は国民に不人気であり、石破首相で6月の参議院選挙を迎えたいという意図があるようです。確かにこれも作戦としては有りだと思われます。
石破首相は長い間自民党で政治改革を唱え政治資金にクリーンな政治家であることを売りにしてきました。昨年の自民党総裁選およびその前の総裁選で党員票が最大だったのはその影響が最も大きいと思われます。いわば石破首相の1枚看板なわけでこれがはげ落ちた影響は甚大です。石破首相の支持率は首相就任以来30%台が多く、意外にしぶとかったのですがこの報道があってから20%台も見られます。もう挽回は難しく今後石破首相は死に体となること確実です。
この状態は野党が一番喜んでいるでしょうが、これを喜んでいる官庁があります。それは検察庁です。本件については検察に告発されることが確実と言われており、受理も確実です(原則受理することになっている)。そうなるとあとは検察の判断(匙加減)次第となりますから、石破首相(内閣)としては検察の動向を気にすることになります。通常この程度で自分らの司令官を起訴することはありませんが、政府が検察人事に口を出したら別です。長い間検察庁の人事は検察庁で決め、政府はそれを追認するだけと言う慣習だったようです。このため次の検事総長は現職の検事総長が指名することになっていました。これに変更を加えようとしたのが安倍政権で、当時の稲田検事総長に黒川東京高検検事長との交代を迫ったようです。稲田検事総長は法務事務次官当時黒川官房長とのコンビで司法取引などを含む司法改革法案を成立させており、黒川氏に検事総長を譲ることに異論無かったと思われます。問題は政府に言われて交代することで、これを認めると検事総長人事は政府の手に移ってしまいます。そこで抵抗し交代の引き伸ばしを図った結果、黒川東京高検検事長は定年になってしまい検事総長に就任できないことになりました。そこで政府は特例で黒川検事総長の定年を延長し、法的整合性をとるために検察庁法を改正しようとしました。同時に政府は河井克行衆議院議員を法相に就任させ、法相の人事権で検事総長を交代させようとしたようです。その結果起きたのが河井法相夫人である案里参議院議員(河井法相)の選挙違反(買収)の摘発です。細かく見ていけば公職選挙法に違反していない議員はいないと思われ、検察(警察)は違反行為を把握しながら見逃しています。そして検察(警察)に不利益なことを主張する議員については、これを理由に捜査起訴すると脅すことになります。石破首相の商品券問題は検察にとって政府との有力な取引材料を手に入れたことになります。