「公益通報」を報道しなかった神戸新聞の反論は?

3月19日、公益通報問題を調査していた兵庫県の第三者委員会の報告書が公表されました。結論は次の3つに要約できます。

1.元西播磨県民局長(以下県民局長)が行った通報は公益通報と言え、保護されるべきであった。

2.県が県民局長に対して行った懲戒処分のうち「誹謗中傷文書の作成・配布行為」を理由とする部分は効力を有しない。

3.斎藤知事のパワハラについて10件認められた。

いずれも論理的におかしく妥当性がない(3月24日付ブログ参照)のですが、1に関しては報道しなかった神戸新聞(配布されたマスコミ名は公表されていないが、兵庫県なら神戸新聞は含まれているはず)の責任が問われることになります。

報告書は、県民局長が国会議員、県会議員、県警本部、マスコミなどに配布した文書(本件文書)で斎藤知事らの公益を害する行為として挙げられた7項目のうち6項目は妥当性がなく、斎藤知事のパワハラについてのみ一部認められるとしました。パワハラについては公益通報の本筋ではないことから、本筋である6項目の不正が否定されたことから、常識的には本件文書は公益通報に該当しないという判断になりますが、報告書は以下の解釈を繰り出して公益通報に該当すると言っています。

  1. 公益通報には真実相当性が必要だが、真実だと考える相当な理由があればよい。
  2. 指摘事項が全て真実相当である必要はなく、1つでも真実相当性があればよい。
  3. 県側は不正の目的(執行部転覆)があり3号文書(外部公益通報文書)に該当しないと言うが、不正の目的はなく3号文書に該当する。

要するに本件文書で不正と指摘された7項目の1つ(パワハラ?)以上にそう信じたとしておかしくない理由があり、不正の目的は無かったから、3号公益通報文書(マスコミなど県庁外の組織に公益通報する文書)に該当するとしています。

しかしこれまで3号文書では真実相当性が重視され、文書の内容を証明する証拠の添付が不可欠と判断されてきました。例えば文書を受け取ったマスコミは内容を確認する必要がありますから当然と言えます。今回も4,5社のマスコミに配布(2024年3月12日付)されたようですが(配布されたマスコミ名は公表されていない)、本件文書を公益通報として報道したマスコミはありませんから、マスコミとしては文書内容の確認が取れなったものと思われます。本件の参考になる事例として2023年に熊本県で新聞社に公益通報がなされ、新聞社速やかに公益通報として大々的に報じましたが、この場合県庁幹部が補助金不正を見逃すよう指示したことを疑わせる録音データが添付されていました。兵庫県の場合、文書の内容を証明する証拠が全く添付されておらず、かつ文書作成者も書かれていなかった(熊本県の場合書かれていた)ことから、配布されたマスコミは内容の確認のしようがなかったようです。こんな状態で名のあるマスコミは報道できません。いわゆる怪文書扱いです。

こんな中配布された県議(マスコミ関係者との話もある)から本件文書が斎藤知事に渡り(3月20日)、作成者が県庁幹部である疑いが生じたことから斎藤知事は側近の幹部に調査を命じたようです。するとこれまでの経緯からすぐに県民局長の名前が浮かび公用メールや公用PCを調べた結果特定に至ったようです。斎藤知事は事実無根の内容を記載した文書を外部に配布したこと、これを公務中に作成したことは懲戒処分に該当するとして処分の検討に入りました。すると県民局長は4月4日本件文書を県庁の公益通報窓口に提出し、本件文書は公益通報であると主張し始めたようです。斎藤知事は、もともと本件文書は3号文書としてマスコミなどに配布されながらマスコミから公益通報文書と認められなかったものであり、同じものを県庁の公益窓口に出し直しても公益通報にはならないと判断しました。これに対して県民局長を支援する人たちは、公益通報かどうかは文書で公益を害する行為をしていると指摘された斎藤知事が判断するのではなく、第三者が判断すべきだったと主張しています。たしかに県民局長が最初から県庁の公益通報窓口に通報していればその通りだと思われますが、そうせず一度報道されたら著しい信用失墜に繋がるマスコミに配布した以上この論理は通じなくなるように思われます。

しかし報告書は、「この文書を広く流布して県政を混乱に陥らせようとの不当な意図も看取することはできない。現に、3月27日の斎藤知事記者会見までは、世間の注目を集めてなかったし、それによる県政の混乱もなかった。」から作成者に不正の意図はなく、3号文章に該当する(本来的に公益文書だった)と判断しています。そうなると3号文書に該当しないと判断し報道しなかったマスコミに責任が生じます。配布されたマスコミ名は公表されていませんが、兵庫県で最大の発行部数を誇る神戸新聞には配布されていると思われます。神戸新聞は斎藤知事の記者会見で本件文書の問題が明かになって以降斎藤知事批判を先導しましたが、その間本件文書を受け取っていながら公益通報として報道していません。神戸新聞が報告書の公益通報認定を受け入れるのなら紙面で懺悔すべきであり、受け入れないのなら反論すべきだと思われます。