第三者委員会の虚構がバレた!
3月19日、兵庫県の公益通報問題を調査していた第三者員会の報告書が公表されました。結論は、次の3つでした。
1.元西播磨県民局長(以下県民局長)が行った通報は公益通報と言え、保護されるべきであった。
2.県が県民局長に対して行った懲戒処分のうち「誹謗中傷文書の作成・配布行為」を理由とする部分は効力を有しない。
3.斎藤知事のパワハラについて10件認められた。
結論をみると斎藤知事に厳しいように見えますが、内容を読めば斎藤知事および県民局長両方に配慮した内容になっていることが分かります。
1については、通報文書は公益文書に該当するという結論ですが、通報文書で公益を害する行為と指摘された7つの内容のうち6つは妥当性がないとされ、最後のパワハラだけを認めています。公益通報の中心テーマである公益を害する行為は無かったとし、パワハラはあったら改めるべきとしているのです。要するに公益通報になったとしてもパワハラのお詫びで終わったことになります。
2については、この部分を捉え県民局長に対する懲戒処分は無効と解している人がいますが、そうではなく懲戒処分理由4つのうちこの1つに基づく部分を無効としているだけで、他の3つの理由(人事データ専用端末の不正利用、職務専念義務違反、次長級職員へのハラスメント行為)に基づく懲戒処分は有効、即ち懲戒処分全体としては有効としているのです。
3については、県民局長が指摘した行為のうち4件、その他調査で明らかになった行為のうち6件を斎藤知事のパワハラと認定しています。パワハラにはまだ社会的基準がなく、報告書は単発的感情的叱責を幅広くパワハラと認定しており、この基準によれば日本社会はパワハラだらけになり、いたるところで業務遂行に支障が出ることから、報告書を読んだ多くの人はこの認定に疑問を持ったと思われます。
こう考えると報告書は実質的には斎藤知事の公益通報ではないという判断を認め、一部斎藤知事に実害がない部分(パワハラ)については県民局長に花を持たせていると言えます。第三者員会の委員は斎藤知事に任命されたことから斎藤知事を追い込むような報告書に仕上げるはずがなく、かつ余りにも斎藤知事有利な内容だと斎藤知事の回し者と言われることから、こういう配分の報告書になったことが伺えます。斎藤知事もそういう点は分かっているから、パワハラについては認めないにも関わらず不愉快な思いをさせた職員がいたことを認め謝罪し、これから改善に努めると約束しました。しかし報告書が本件通報を公益通報としたこと、および県民局長の懲戒処分理由の1つについて無効としたことについては受け入れていません。これらは報告書の論理構成に無理がある(3月24日付ブログ参照)ことから、当然と言えます。
こうような内容を持つ本件報告書は、反斎藤派からは「斎藤辞めろ」の根拠とされ、斎藤知事支持派からは「斎藤知事頑張って」の根拠とされています。第三者報告書は多くの場合問題が多い内容となりますが、それは第三者委員会が虚構であることからの当然の帰結です。そもそも第三者なんて存在しません。第三者は多くの場合弁護士(裁判官・検事を経て弁護士も含む)がなることが多いですが、任命者と直接的間接的に何らかの関係があることが多く、かつ弁護士は依頼者のために尽くすことが身についており、結論はこれらに影響を受けることになります。かつ公表されてからの批判も考えますから、報告書は雑念の塊となります。従って第三者員会の報告書だからと言ってその結論を盲目的に受容採用援用することは良くないことになります。事実本件報告書は雑念に惑わされおかしな内容になっており、後日第三者委員会の報告書を検証するグループから批判されることになりそうです。今回の報告書で第三者委員会の虚構がバレたように思われます。
追伸;
3月31日フジテレビの第三者委員会が報告書を公表しましたが、依頼者であるフジテレビの要望に忠実な内容となっています。フジテレビの要望は2つあって、
1つ目は、3月31日までに調査を終え報告書を公表すること、
2つ目は、内容は厳しいものにすること。というより1さえ守って貰えば内容については一切お任せする、
というものです。1は広告費の戻りを考えると経営上最重要ですから当たり前です。しかし本件調査には通常半年はかけないと抜けが生じる可能性があることから、第三者委員にとっては難題です。2については、少しでも会社に忖度した内容があればこの問題がその後もくすぶり続けることを考えればこれしかないと言えます。このため内容的には時間の制約で調査不足の部分が多々あると思われますが(担当弁護士が1名交代したのはこのせい?)、報告事項に忖度はないと思われます。しかしこれも会社の意向を反映してのことです。