日産の8人の社外取締役は株主総会で解任される

日産の今期の取締役候補が決まったようです。ルノー指名のジャンドミニク・スナール(ルノー会長)とピエール・フルーリォがヴァレリー ランドン、ティモシー・ライアンに、日産指名の内田  誠(前社長)と坂本  秀行(前副社長)がイヴァン エスピノーサ(現社長)と赤石 永(現チーフテクノロジーオフィサー)に交代し、他の8名の社外取締役は留任となっています。ルノーは日産への出資割合を現在の約36%(本体と信託銀行預託名義合計)から10%程度減らす(日産も同程度減らす)こと、および日産の業績不振の責任を取って2名の退任となったようです。これでルノーによる日産統合の可能性は100%無くなったと思われます。

これを見ると日産とルノー指名の取締役だけが責任をとり、その他の社外取締役は我関せずに見えます。そもそも日産の業績がここまで落ちたのは内田氏を社長に任命した指名委員会およびこれを承認した取締役会に責任があります。指名委員会は全員社外取締役で構成されていることから、内田氏退任(解任)に伴い少なくとも指名委員会委員の社外取締役は辞任するのが当然であり、再任はあり得ないと思われます。それに内田社長の報酬は年間6億円以上、星野副社長は1億7,000万円と報道されています。この金額は日本の自動車メーカーの社長および副社長ではトヨタに次ぐ金額であり、業績と釣り合っていません。この金額は報酬委員会で決められており、報酬委員会委員の責任が問われます。従って報酬委員会委員の社外取締役も辞任が当然です。こう考えると日産の社外取締役8名は全員交代が妥当という結論になります。それが全員留任になったのは、8名の取締役指名権限をこれらの社外取締役が握っているためのようです。要するにお手盛り人事、既得権益になっているのです。

日産の社外取締役には部屋が与えられ、報酬は年間2,000万円になると報道されており、他社で役員を首になった老人や元レーサーには魅力的な地位です。これを自ら手放す人はいないでしょう。こんな人たちに会社の実権を握らせてしまう社外取締役制度の欠陥が日産の例で露になりました。今年の株主総会では存在意義の明確でない社外取締役の大掃除が必要となっています。先ずは問題の発生源である日産の株主が総会で8人の社外取締役を不信任にすることで責任を果たすべきです。おそらく約36%の株式を持つルノーも8人の社外取締役には不満を持っており、全員を信任することはないと考えられます。自ら責任を取らない8人の社外取締役の全員または多くが株主総会で信任されない(解任される)ことになると思われます。そうでなければ日産の倒産時期が早まるだけです。